カテゴリ:生きるチカラ( 26 )

路地裏のつぼみ



もう一ヶ月も前のこと。
5月8日、仔猫を保護した。
そのコはいま、私のもとにはいない。
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春になって深夜に時おりこのあたりで見かけるようになったちび猫。
おとな猫の姿はもう半年も見かけていないのに、なぜか突然ひとりちび。
生後約半年で保護した当時のすずより半分くらいのサイズ。
見かける頻度が上がり、うちも含めて近隣のゴミ袋が破かれるようになり、
あぁちびや、その小ささでひとり生きるに必死なきみも
このままだと嫌われて追われてしまう、なにより車道が危ないのだ。

最もよく見かけていたナオトが「グレーに白」と言うので
銀さんと同じサバ白かと思っていたらほんとにグレーに白。

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見かけなくなることを祈って目の端で見ぬフリをするか、
ぐしゃぐしゃになった猫の死体を拾うか、
それよりマシな行動はいくつかある。
「あーかわいそう」「あー見たくない」
目の前のちび猫一匹、路上から消すなら自分の手で。
性別もわからんのに雷三(らいぞう)と呼び、保護することに決めた。
個人的には断固おとな猫推しだけれども、
小さくてかわいいうちがもらわれやすいのも事実。
すずはいっちょまえにアニキになって、らいぞのしあわせを応援するのだ、
と道筋を立てながら、ナツの捜索時に見習った捕獲の手順を踏むこと一週間、
チーム銀次所有の捕獲器で、一発成功。
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その日は日曜日で病院は混んでいて三時間近くかかった。
皮の手袋をはめた先生たち三人掛かりで捕獲器からひっぺがし、
ノミとおなかの虫をいっぺんに退治する薬を滴下。
大暴れでおしっこをまき散らす雷三の首から血液を採り、わかったのは、
メスであること、そして、FeLV 陽性。
「残念。こんな仔猫で、珍しいね」と先生。
「でも、よかったです、今夜、わかって」
通院を翌日にしていたら、すずとの隔離を不十分にしてしまったかもしれない。

タクシーに乗る。ぶるる。歯が鳴る。
正直、自分が病を告知されたときよりショックだった。
100%かわいく、すぐにでも安全でしあわせな暮らしを始められるはずの仔猫。
FeLV 猫白血病ウイルス感染症
この病気であれば、簡単ではないだろう。
風太もすずも、拾ってみたらキャリアだった可能性はあった。
いつだって、常にある。そうでないことを、願うしかできない。
そうでなかったら、を考えすぎたら私はきっと何もできなくなる。
とはいえ、あぁ、どうすれば。

店に戻ったのは24時近かったのに、携帯を持っておらず途中報告のない私を
みな終電ぎりぎりまで待っていてくれた。もちろんすずも。
まずは隔離だ。
事務所にあるすず用の二段ケージを使うつもりだったけれど、
あとで洗いやすい一段ケージを物置から出して組み立てた。
GWに臨時営業した代休で翌日から二連休。
それもあってこの日を捕獲決行日に選んだ。
ひとまずすずは自宅に置いておけばいい。
その間に、どうするか考えよう。
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あぁ名前。メスだったから雷三じゃダメだ。
ひっくり返して「みらい」?
雷にくさかんむりをつけて蕾(つぼみ)、どう?
うん、きみは路地裏に咲く花だ。
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それにしても、なんという皮肉だろう。
今この私に、不治の病を背負った仔猫。
FeLVキャリアには一年と三年の壁があると言われる。
もしもそんなふうに限られた命ならば、私でも添い遂げられるのでは?
しかしさくらとすずと、三匹の命を背負って、
どう暮らす?どうすれば全員が安全でしあわせ?

シェルターでたくさんのキャリアっコを抱える犬班おっちゃんに相談する。
「あなたが引き受けることだけは絶対に反対。
あなた木曜から投薬でしょ?できないでしょ?
友人として、手伝うから。
人馴れ訓練と治療を、あたしがやっておくから。
その間に、あなたが里親を募集して。
引き受けてくれるヒトに、たった一人、出会えればよいのだから」

木曜から投薬で動けなくなることは事実。
隔離どころか三匹の世話さえできない。
友人としての言葉、心強く、ありがたいことも事実。
それ以外は…何とも言えないけれどひとまず
つぼみを郡山で預かっていただくことにした。
なんということをヒトに押し付けるのか。と
我ながら情けなくて呆然としたまま。

月曜の間つぼみは、ケージの中に置いた段ボール箱の奥に潜り込んで
まったく動かず、ごはんも食べなかった。
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火曜日、出発の朝、皿は空になっており、水の器はひっくり返っていた。
ケージに段ボールを入れておいたのは正解だった。
つぼみは奥で縮こまったまま。
洗濯ネットを箱の上からかぶせ、箱を逆さまに振ってポトン。
そのままキャリーにイン。

急遽いっしょに里帰りすることになった日陰亭預かりのロキシーを連れ
あやこが上野駅のホームで見送ってくれた。
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つぼみはいないみたいに静か、ロキシーはたまにひんひん小声で鳴き、
おかげで席を立たずに済んで70分。
郡山駅にはおっちゃんが迎えに来てくれて、重たく運ばなくて済んだ。
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シェルターに入るためにはワクチン摂取が必須なので
午前の部の最終に間に合うよう、まずは病院に行ってお預けする。
体重は1.46kg。生後3〜4ヶ月。
歯が、すずと同じでガチャっ歯だった。栄養が足りなかったしるし。
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日比さんのお宅で東京に持って帰る分のキリキリ作業をやっつけて、
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犬班おっちゃんだいすき、あいちゃん
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(全国のみなさまからご参加を得て今年は
 エフまとめ分だけで62口を応募できました!)
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村の給餌から戻った日比さんを待って、
みな大好物のゆうさんのカレーを美味しくいただき。
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飯舘村出身イヴさんを囲んで、ため息ばかりの村の話。
いやホント…イレギュラーの子猫増やしてる場合じゃないのだよ…
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その日のおっちゃん こと 犬班A。さんのブログ[こちら

翌日もすずは自宅待機とし、つぼみが使ったケージを畳んで洗浄&消毒。
隔離は無事完了した。
私は、でも、自分ではやらずに他人に呼び掛けることが、とてもしづらい。
自分がやらないことは、ツイッターでリツイートさえしづらい。
自分さえ共感できないアクションを、誰かが共感してくれるはずもなく。
だからずっと書けなかった。今だって、なにか筋が通ったわけではまったくない。
いつまでも書かない私に呆れながらも
おっちゃんはつぼみを毎日抱いてくれている。
シェルターではつぼみが占めているわずかのスペースも、
次の猫たちが空くのを待っている。
猫の時間はヒトの5倍の早さで過ぎる。
すでに腕の中でうっとりした顔を見せ始めているつぼみは
元の顔がわからないくらい「ほげ〜」としている。
私はこのコを、一度も素手で触ってあげなかった。
自分でも、そのことの意味がまだよくわからない。

以下5枚、犬班おっちゃん撮影の写真。
ツイッターで「今日のうっとりちゃん」に毎日出会える。
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個性的な鼻周り、と喜んでいた読点[、]みたいなのは
模様でなく汚れでやがて落ちてしまった。
それにしても私のところに来る猫はどこまでも模様がバラバラよのう。
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ちっちゃな体で全力で威嚇していたつぼみの攻撃力の弱さから
おっちゃんの見立てでは、完全な野良出身ではなく、
つぼみまたは少なくとも母親はヒトの手を知っているのではと。
つまりどこかで棄てられた猫。
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病気はお母さんから受け継いだのだろうか。
どの時点からひとりで生きて来たのだろう。
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ともかく今は、ほげ〜
縮こまっていたもとの顔を忘れちゃうくらいだよ
怖いもの、もう何もないからね
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5656イベント発起人で私もたいへんお世話になっている
作家の加門七海さんと暮らしている「のの」さんは、FeLVキャリアで8歳。
ストレスのない暮らしで長生きもできるという希望の星だ。
(加門さんのモーレツな猫馬鹿献身ぶりはエッセイ『猫怪々』にて)
今回も真っ先に応援を申し出てくだすった。
つぼみはののさまを、憧れのあねさまと慕います。


長くは生きられないかもしれない仔猫、
長くは生きられないかもしれない老猫、
長くは生きられないかもしれないニンゲン、
結局のところ、誰もが限りある命のなかで生きているわけで。

つぼみの生涯はまだ始まったばかり。
おひさまのいっぱいあたる窓辺で、白いハラ毛をそよそよさせて
やさしい手でなでられ、抱かれ、ほげ〜 と眠る。
ただそれだけの、それこそが最高の、日々を約束してあげたい。

つぼみと共に生きてくださる方に、出会えることを願って、
つぼみの生涯の家族を募集します。
FeLVキャリアのつぼみは、キャリアでない猫といっしょの部屋では暮らせません。
ペット可の住居で完全室内での終生飼育が大前提で
他に猫さんがおらずつぼみを一匹だけで迎えてくださる方、
もしくはFeLVキャリアの猫さんといっしょに暮らさせてくださる方、

またはそのようなお友だちをご紹介くださる方、
メールまたは店頭にてお声掛けください。
私自身の治療のため一週間おきに不在になりましてご不便をおかけします。


一年前の今日(6/4)、私は病院で告知を受け、
そのまま40日間入院した。
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前夜に急遽、日陰亭に預けたすず
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その朝見送ってくれたさくら
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余命と言われた九ヶ月はすでに過ぎ、
この一年、「辛い」は少々あっても、
「怖い」と思ったことは一度もない。
これからもない。
それは初めて訪れたシェルターのキャリアっコ部屋
私を貫いた猫たちの生きるチカラが
私の中に丸ごと宿って、生き続けているからだ。

命のかぎりまっすぐに生きる猫たちが教えてくれる。
猫たちを日々守るヒトたちが教えてくれる。
彼らがよりよく、よりしあわせに暮らせることが、
私のただひとつの望み。願うだけでなく、叶えていきたいから、
いまは何が正しいかわからずにいるけれど、導く声を探して。
暗闇にすずの丸黒目を見つけたように、
きっと見つけられることを信じて。

路地裏に咲くつぼみ、どうぞお見知りおきください。


[追加]



by ginji_asakusa | 2016-06-04 22:22 | 生きるチカラ | Comments(8)

退院のご報告 と

お久しぶりです。
四十日間の入院を経て、月曜日に浅草に戻って来ました。
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入院中にはたくさんのメッセージ、お祈り、各地のお守りや
お見舞いの猫な品々などお届けいただき、とても心強く励まされました。
どうもありがとうございました。
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(AFTER っていうか BEFORE…)
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支えてくれた看護師さんたちと
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とはいえ、残念ながら完治したのではなく、むしろこれからが闘いになります。
今後も私とすずの不在で引き続きご心配ご迷惑をおかけすることになるため、
病状についてここでご報告させていただきます。

私がいま向き合っている病気は癌です。
原発となった大腸癌の手術は、しばらく後遺症が残るものの無事に終わり、
術後約一ヶ月で一時退院が可能となり、いま私は浅草にいます。
けれど癌はすでに転移しており、大小複数に散らばりながら進行し、
現時点で手術や局所治療で取り除くことは不可能な状態です。

今月末には再入院して、化学療法が始まります。
化学療法には以前からかなり抵抗がありましたが、
今の私の状態にはそれしか道がないようです。
治療が効くかどうかもわかりません。
副作用がどう出るかもヒトそれぞれで、やってみないとわかりません。
二週間ごとの短期入院または、外来+在宅投与も可能だそうなので
なんとか在宅でやっていきたいと思っています。

仕事も生活もままならず、自分の体がいつどうなるか、
まったくわからなくなってしまいましたが、
残された道を、できることを、やってゆくしかありません。
仕事も生活も両立しながら治療を受けている方もたくさんおられるそうです。
今はまだその姿を描くことができず、怖くて逃げ出したい気持ちでいっぱいですが、
いつの日か私もそうなりたいです。ならなくては。
その先に何があるかわからないのは、誰の人生でも同じなのだし。

この退院でめでたしめでたしであったならどんなによかったかと思います。
でも後悔してもしかたないから、前だけ向いて上だけ向いて進んでゆきます。
深刻になりすぎず、これまでみたいにけらけら笑って、
いつでも猫の話ばかり、いつでも猫にいいことばかり、していたいです。
これからも変わらず、猫を通して出会い、つながるヒトたちと。

そこで、あの夏ぶりの「子分寄り合い」を開きたいと思います。
こうなる前から、今年は再開したいと思っていたのです。

7月20日(月祝)16時から エフにて ほどよい時間まで。

再入院まで時間が短く、急なおしらせとなってしまいましたが、
ご都合のつく方はぜひご参加ください。楽しい猫集会になりますように。
参加無料、予約不要。飲み物はこちらでご用意します(差し入れ歓迎)。
食べ物を各自一品お持ち寄りください(暑い時期につき鮮度には十分お気をつけください)。
すぐにも「行かれるよ!」という方は、
コメント欄に書き込んでいただけたらうれしいです。
当日の飛び入りももちろん歓迎です。


自宅ではまだ母がいっしょに暮らしてくれています。
消化によい食材を選んで三食自炊しています。
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おかげさまで、さくらもすずも元気にしています。
さくらには忘れられていましたが、ふたりきりになってようやく
まっつぐ目を見つめてくれるようになったところ。
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すずにはまだ会っていません。
今回、私が知らなかったすずの姿をたくさん知ることになりました。
もうすぐ迎えに行って、寄り合いにはいっしょに参加できればと思っています。
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さくらは患部に手を置いて添い寝してくれます
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これは笹かまです
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これはいちご練乳アイスです
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ひなたぼっこ
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グッッ
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猫とすごせるしあわせを噛み締めています
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by ginji_asakusa | 2015-07-15 14:56 | 生きるチカラ | Comments(54)

DAY 26

自分史上最大の手術からは生還しております。
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へのかっぱーの歌を歌って手術に挑みました。
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お祈りも、お見舞いもいろいろみなさまありがとうございます。
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こちら手術後二日目の姿。
ヒマラヤから下山したみたいな唇になっています。
体内の水分バランスが崩れているからだそうです。
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手術後のあれこれがこんなにつらいとは知らなかった。
もう二度といやだ。
舐めて治せよと手術翌日にリリースしてきた猫たちの
TNRの報いと思って耐える。
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街までソフトクリーム食べに行ってた頃は自由だったな…
とうらめしく空を眺める。
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今日で入院26日目、手術から二週間、
そのうち三食ごはんをもらえたのは
手術前の全五日間のみで、現在も禁飲食中で
病院のベッドの上です。
な、長い…
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手術の傷痕など、時間の経過が薬となる部分は確かにありました。
でもそれ以上に、内部の回復の遅れによって日にちが経つことで
より苦しみが増すことのほうがはるかに多く、
チューブは今も4本も体内を出入りしており、
立っていても横になっていても座っていてもつらく、
しかも眠れない、という状態が続いています。
通常ならもう退院する頃なのに、先が見えない。
一日も早くすべて終わりになってほしい、
もう全部やめたい、チューブを引きちぎりたい、
何度もそう思いながら、昼とも夜ともわからなくなった時間を
じりじりと潰す毎日です。
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とはいえ寝ているだけだとほんとうに床ずれになってしまうので
なんとか体を引きずって散歩に出たりこうして座って書いてみたり
起き上がったり横になったり。
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これ以上暗くなるといけないので
このくらいにしておこう。
猫がいないからいけない。

まだ帰れませんが、こんなですが、がんばっています。
浅草のみんなをよろしくお願いします。
by ginji_asakusa | 2015-06-29 19:03 | 生きるチカラ | Comments(25)

DAY 12

ご来光入り点滴〜
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などとネタにするしかないほど
入院して一週間の禁食 
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たくさんの検査もやっと終わり
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ごはんも食べられるようになって
点滴が抜かれてコードレス人間に
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みなさまからたくさんのメッセージや差し入れやお守りなどをいただき、
お返事やお礼をと思っていましたのに気力体力が追いつかず、
またまた一人では受け取りきれないことになっております、
ごめんなさい。

従姉妹たちがプレゼントしてくれた部屋着たち
(点滴がはずれると急に、ただのリラコのまま外に出ちゃったヒト)
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食後の散歩、庭の友だち
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いろんな空の日があって
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忘れられない空の色があって
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付き添いがいれば病院の敷地外へ出る許可をもらえるようになり、
家族や友人と毎夕二時間ほど散歩する。
近所の猫さんたち、最強はこちらの方。
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あまりのどかな猫はいない感じ
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日課のソフトクリーム@街の喫茶店。
しばし病室を離れ、街と生活の活気、彩り、匂いのなかに
身を置けることはとても刺激になります。
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絵画療法のお時間です
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「ぶさねこ堂」から栗ごはんさん作・古裂製、
のすけくんコースター、即日完売だったようです…
私がいなくても手芸部を盛り上げてくださる方々
ありがとうございます。
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自分のいる位置を恐る恐るたしかめながらの毎日。
まもなく、人生初の手術に挑みます。
私は寝ているしかできませんが、成功を祈らずにおられません。
これを超えなくては猫たちのもとへ戻れません。
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手術後は、復帰に向けてリハビリの一週間が待っており、
ますます音信が途絶えることになりそうです。
今月いっぱいは帰れません、引き続きご迷惑をおかけいたします。
今は目の前の困難を乗り越えることだけがんばります。
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by ginji_asakusa | 2015-06-15 04:00 | 生きるチカラ | Comments(18)

じたばた

グッ玉遊びがさくらさんに大好評で三日目、土曜の明け方のこと。
5分で遊ぶのを止めたら抗議行動で椅子を占拠。
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移動して、猫じゃらしがしまってある引き出しの下で座り込み。
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なんとかなだめていっしょにベッドで寝たのが5時。
そして2時間後、さくらさんの発作のゼコゼコ音で目が覚めた。
通らない鼻で一生懸命息を吸おうとして鼻が伸びる顔。
吸えないので口呼吸になる。
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喘息発作ってどんなの、という参考に、6月に撮った動画です。
見るの辛い感じなのでリンクにしておきます。[こちら
私も、発作が始まった頃に「これいったい何なの」とネットで探し、
似たような動画を見つけて喘息なんだとわかったのです。

ここまでなってしまうと自宅ではどうしようもないので
またまた朝一病院…
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病院で、暴れるけれど絶対爪を出さないさくらさんを、先生が
「さくらにゃんはほんとうにけなげな子」と言ってくれる。
看護士さんたちも「やさしい、いい子」「ほんとうにきれいな色」
と言ってくれる。
優しくて美しいさくらは、放射能が降り積もり
ヒトが住めなくなった丘の上で三年間暮らしていた。
事故前の豊かな大自然を想うほどに、
さくらをこの病気に閉じ込めたくないという気持ちになる。
さくらの強さとしなやかさを、奪ってしまいたくない。

ネブライザーの予約が他に入っていなかったのでさくらを預け
店へ向かう途中、ほおずき市の骨組みに結ばれたピンクの布が
除染の目印に見えた。
賑わう境内で、そんな光景にブルルとしているのはたぶん私だけだろう。
東京がそうなってもおかしくない。
除染対象となるのは地上50cm〜1mで0.23μSv/h以上の地域。
そのくらいの汚染は、東京のあちこちにあるだろうから。
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おかえりー がんばったね @15:30
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ストレス発散
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えっさえっさ
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オイサオイサ
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ウキーー
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行っちゃうの、という顔
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玄関まで追うことは滅多にないのだけど
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その夜。
ポララミンという、名前だけかわいい薬を始める。
アレルギー症状を抑える抗ヒスタミン剤。
舐めるとしっかり甘い。小さいヒト用なのかな、猫にこの甘さは必要なのか。
5mm、けっこうな量。5回に分けてプッシュ。
もちろんイヤがって暴れるのでお互いべとべとになりながら。
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さくらさんはべとべと甘々が点鼻よりもイヤだったらしく、
それでも「怒る」ことがないのでそれはもう悲しそうに
私を避けてあちこちに潜り、風呂場のカーテンの向こうへ消えて行った。
「あなたのためなのよ…」と思えたならまだいいけれど、
自分がその確信を持てていないというのがいちばん辛いところ。

はたして鼻のズコズコは直ちに止まった。こ、怖いな…
抗ヒスタミン剤が効くってことは…やはりアレルギーなのか。
そしてヒトなら服用後の運転などは禁止されるほどの副作用の眠気。
猫にも効くようで、トイレのドアを塞いで寝てしまった。
これまでこんなところで眠ったことない。てかトイレ行きたい…
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薬の濃度や量は合ってただろうか、これでほんとうによかったのかと心配になり、
体のあちこちを触ったり撫でたり揺さぶったり。それでもさくらさんは起きない。
そんなこと思ってもしかたないのに、結局やるのに、割り切れない。
つくづく私には向いていないんだなー…
自分の手で少しでも楽にしてあげられたらどんなにかいいのに。無力だ。

脱力しているさくらさんを抱っこしてベッドに移動、
いつもは私が起きるともういないのに、同じ場所でまだ寝ていた。
いちおうごはんはカリポリと少し食べて、テーブルの下へ。
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私が家を出るまではたいがいまったりしてるけど、
いつものさくらさんとなんか違う。生気がない感じだった。
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12時間経っていないし、これ以上薬を入れる気になれなかった。
先生の言う通りになかなかできず、薬も無駄になることが多いけれど、
状態を見つつ、薬で支配しすぎないようにしたい。
生きるチカラの底上げをしたい。

と言いつつ、今週は大学病院での検査。
鼻に問題が見つからなかったら、本格的にアレルギーと向き合うことにする。

病気の記録は楽しいものではなく、泣き言も出てはじたばたします。
不要な方、不快な方には読み飛ばしていただければ。
闘病がネガティブなものであると思われては残念で、
私のような非科学妄想班の素人がどのように選択し、どのような結果に至るか、
そのなかで必ずや輝いて見えて来るのが、猫たちの生きるチカラだと思うのです。
そしてじたばたしながら少なからずヒトも成長していきます。
その記録が自分にとっても必要であり、そのじたばたが誰かの励みにもなればと
(下を見て…、という意味で)。
生きるチカラは獣医さんの見立てや通説を軽々と超えていきます。
れんちゃんとの15年間の闘病がそれを教えてくれました。
なので私がその時々でじたばたくよくよしていても、どうかご心配なさらずに。
いつものアレねと笑ってくだされ。



Gallery ef, Asakusa, Tokyo
旧ブログ『今週の銀次親分』

by ginji_asakusa | 2014-07-07 04:55 | 生きるチカラ | Comments(6)

延長願い

12月31日、腫れ目でボロボロボサボサに変わりはなく、
変えるつもりもないが、三日ぶりに店を開ける。
お供えを持ってご来店くださる方が続々と。
江戸泊のぷちにゃさんもひそかさんとカフェにご来店くださり、
納豆スパゲティを召し上がる。
昨日のは新幹線の中で描いたから揺れちゃってさぁ、と
朝ファミレスでもう一枚描いて来てくださった。
青空を背負った銀さん、かんわえ〜
この黒目がね、銀さんの特徴だよね。
見つめられたらもう、一生ついていっちゃうのあたぼうだよね。
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Fさんご夫妻からはご供花に加えてとんでもなく上等な
おせちの差し入れまでいただき… 身に余るご厚意を、ありがとうございます。
銀次親分のおかげさまで、我ら忙しいだけでない侘しくない元日を迎えられます。
もちろんお供えして、お下がりをいただきます。
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夜になり、二階で机に向かっていると歩道から悲鳴が聞こえた気がした。
ナオトから内線で呼ばれ、蔵に行ってみると mikaさんが泣き崩れておられた。
「旅行に行ってて…ブログ見てなくて…
 ここに着いてからも下ばかり見て銀さん探してて…」
いないのかなぁ、と顔を上げて、初めて張り紙を目にしたそうだ。
通りからの悲鳴は空耳ではなく、mikaさんのものだった。
29日からの様子をお伝えすると、話を聞けてよかったと言ってくださった。

ブログのみでのおしらせにさせていただいたので、mikaさんのように
帰省や旅行などでネット環境になく、まだ知らせが届いていなかったり、
来店して初めて知る方々、年明けてだいぶしてから知る方々のことが
気がかりで仕方なかった。
信じられない、心が裂けてしまいそう、というのはみな同じだとしても。
実際、通夜の夜に張り紙を出してから、通りでは悲鳴を上げるヒト、
口を押さえて立ち尽くすヒト、ハンカチで涙を押さえるヒト、
窓越しに拝むヒト、たくさんおられる。
隣の会社の喫煙チーム@店前ベンチが知ることになるのも、まだまだ先だ。
年末最後の配達の兄さんたちも、お線香をあげてくれた。
いつも足元の銀さんを避けての荷物運び、余計な筋肉を使ってくださったよね。
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年越しの時刻が近づき、電飾大好きな方々はスカイツリーのふもとへ、
敬虔な仏教徒の方々は浅草寺へ、それぞれ散らばって行き、
カウントダウンのバーは閑散として近しいヒトたちだけになった。
では遠慮なく、と年越しの掛け声はみなで「ギンギーーン」と吠えた。
まだあちこちに吹き出し付きで浮かんでいる銀さんの鳴き声や雄叫びを集めて
グリグリと耳の穴にねじ込み、その奥で響かせる。
銀さんはいる。銀さんはオレたちとここにいる。当たり前だ。
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銀さんを背に、年越しのお茶会セット完了。
これはたとえ一人でも、必ずやるんでやんす。
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上海からいただいた特別な鉄観音を。
上海猫たちもお祈りしてくれているしね。
炭焙煎でずっしり重くて美味しく酔った。
四十九日の日も淹れようかな。
(YUちゃん撮影 ↓)
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◇ ◇ ◇ ◇ ◇

銀さんの命が突然体から飛び出して行ってしまったのではなく、
銀さんのいない世界に自分だけが蹴り出されたのではないか、
という疑いが消えない。
どこぞのパラレルワールドでは、
あの奇跡の日常と窓際と日だまりが変わらずあって、
銀さんは変わらずそこにフクフクと転がっていて、
変わらず子分をはべらせているのではないか。
そんなタイムラインがこのトンネルの壁の向こうに並行して走っていて、
自分は一本ズレちゃってて、見せつけられていて、何の罰か拷問か。
壁を突き破って、どうにか帰る道を探している。そんな感じ。
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あばよっ、とばかりに、いや、「あ」の音くらいの一瞬で、
この世を去ったオトコ。ツレナイにもほどがある。
江戸っ子のセリフとして有名なのは「宵越しの金は持たねえ」であって、
「年越しの命は持たねえ」とはだいぶ違うんだよ銀さん…
豪快すぎて、子分の誰もついていけてませんよ…

銀さんと引っ越す先を探していたんだよ。
日当りがよくて、下の階にヒトがいなくて走り回って遊べる部屋をさ。
病院の裏に空き部屋があってさ、エフからは遠くなるけど、
見に行ってみようと思っていたんだよ。
3月の展示も5月の展示も、全部銀さんといっしょに描いてたよ。
大ドンデン返しすぎて、新年の予定は全部吹っ飛んじゃったよ。
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吹っ飛んだあとにボッカーンと空いた穴はあまりに大きい。
ほんとうに体の一部だったのではと疑うくらい、
体重も一気に3kg消えた(体重計が壊れているのかもしれない)。
自宅で一人でいるとき以外、常にいっしょにいたわけで、
いっしょにいる内の6割くらいはカメラを持って近くにいたわけで、
脳内においては99%くらいが銀さん由来だったのだから、まぁ、当たり前だ。
さぁどうしよう。もうどうしよう。これからどうしよう。
この死の意味を考える。わからないけれど考える。


腎不全を生き抜く余力はまだまだ十分にあるという感触だった。
数値もよくなっていて、腎臓は改善しないとか言っちゃって、
第三ステージに逆行してんじゃん〜、と私はほくそ笑んでいた。
でも未来は誰にもわからない。いきなり急降下して、
2014年は壮絶な闘病の年になっていたのかもしれない。

れんちゃんとの最後の二ヶ月間、あらゆる場面で
「これが銀さんだったら…」と想像しては白目になっていた。
腎不全だろうがエイズだろうか、病院では爪切るにも4人掛かりで
ついには匙を投げられてしまう銀さんに、
強制給餌や強制排泄なんてできるわけない。
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弱っていく姿を見せたくないプライドと、
それでもヒトのいる場所にいっしょにいたいという気持ちと、
生来のあまのじゃくと、人間でも解決し難い大きな大きな心の問題に
板挟みになる銀さんはどうなってしまうのか。
ついには店を出てひとり姿を消すんじゃないか。
ワーやりそうやりそう…やだやだ…

ともかくそんなの考えてもわからないし、いっしょに乗り越えるしかないのだし、
そうなりゃそのときだ… と考えないようにしていた。
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突然死。
私は最初の報告で「急性心不全のような」と書いたけれど、
お参りに来てくださったIさんの犬の突然死の経験談として、
動脈瘤破裂というのがあったそうだ。
ヒトのように、事前に検査で発見できるものなのだろうか。
手術で取っておきましょうということになったら私はしただろうか。

ともあれ、こんなにも突然があり得るのであれば、
それはいつ起きてもおかしくなかった。
ナオトも帰って銀さんがひとりのとき、
休みの日に私が出掛けていて家で留守番しているとき、
なんだってアリなわけで。
来てみたら、帰ってみたら、死んでいた、という場合、
苦しんで死んだのか、自分の置いていたモノが喉に詰まったのか、
解剖して真実と向き合うべきか、なぜひとりにしたのか、
私たちは今よりもっともっと苦しんだことだろう。
実際その苦しみに直面した方もおられるし、
誰もが経験する可能性を持っている。
なので比べてはならないし、すべて猫神さまの段取りである、
これぞ天命、天晴、と受け容れるしかない。
たくさんのプロセスを経て、いつの日か。
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いただいたたくさんのメッセージカードの中で、
「うまく受けとめられずにいるこの突然のさよならの意味を考えました」
と、ある方がこんなことを書いてくださったので、
引用させていただきます。

銀さんにとってのエフでの生活は、猫神さまが銀さんに与えてくださった
ものすごく特別な「おまけ」のにゃん生、ご褒美のにゃん生だったのだ。
猫神さまから「ご褒美をどんな風に使ってもいい」と言われて銀さんは、
弱っていく姿を見せながら少しでも長くいっしょにいることではなく、
毎日元気に楽しく笑ってすごす、最後は豪快にズバッと!
を迷わず選んだ。

というお話。
うん、たしかにそう。ズバッと行かれてそりゃあもう辛いけれど、
それにまだまだいっしょにいられたはずだけど、
かといって長く苦しむ銀さんを見たかったわけではない。
もともと「おまけ」だった。そう、すごくそんな感じ。
実際あのとき外にいたままだったら、口内炎と腎不全の悪化で長くはなかったか、
過酷な環境にあってエイズを発症して苦しんだことだろう。
結局エイズはかすりもしなかったけど。

お話をつけ加えるなら、
銀さんがいただいたおまけ時間はヒトの時間で「丸4年」で、
11月24日の記念日が期限だったのではないだろうか。
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けれど銀さんは猫神さまに延長を願い出た。
年は越さねえんで『月夜の森』が終わるまでなんとかおねげえしやす。
子分猫たちが森に集まるんでさァ、ヘヘン、
ってね。
何事も堂々とやってれば意外とオケーであると知っている銀さんは、
月夜の森が無事終わってもシラ〜と堂々と悠々とンベンベ〜とかしててね、
ついに神さまが、さすがに暮れも押し迫ったし火葬場も閉まるし、
あんたそんくらいにして帰って来んさい! ってね、
ピョイと首根っこをつままれて、アヒョー、ってね、空の彼方に。
熱燗が効いちゃって体はますます元気だし、
子分らが常に見守ってるから外に出て事故に遭いようがないし、
業を煮やした神さまは、乱暴だけど心臓の栓をキュッと止めるしか
思いつかなかったんじゃないのォ。
うんほんとに、そんな感じなんだよね。
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だってまるで公衆電話で最後の10円玉が落ちてガシャンと切れるみたいだった。
終わりったら終わり!みたいな、なんらか無理をする理由が
あったんじゃないのかな。
神さまにとっても、あちこちへ送り込むための優秀な化身として
銀さんが必要だったんじゃないかな。オレが神なら手放さないよね。
もうあんたは十分にこの地に伝説と種を植えたよ、って褒められて、
神さまに抱かれて(ジェラシー!)今はゆっくりおやすみしてるよね。
寝てるだけで仕事になるオトコ、銀次。
寝ながらでもいいからさ、そこから子分みんなを見守っていておくんなせえよ。
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とね、すべて後付けでなんとか受け容れようと努力をするわけですが、
我ながら苦しゅうない感じになって来たなと思っていて、
みなさまにも少しでも助けになればと思います。

だってまたいっしょに笑いたい。
「猫の葬式とかww」「石巻から飛んで来るとかw」「それでこそオヤビンw」て。
泣いたっていいし。
私もひとりのとき大声で泣いてますから。
家族もみな、それぞれのかたちで毎日泣いています。
恋しいし、苦しいけれど、愛すれば愛するほど、
どんなかたちであれいつかは絶対に起きることだから、
私たちはこれからも銀さんと進む。
それこそが、まことの子分の最初の務めなのかもしれないよ。

私なんてね、銀さんを失うことが近年でいちばん怖かったので、
不本意ながら怖いもんナシなんで最強な気分ですわ(一時的な錯乱w)。
死も病気も怖れなくていい、永遠のノロケ期間に突入したわけです。
誰かに留守を頼まなくてもどこでも行けるから、
飯舘村へももっと通えるし。
あとはもう、猫神さまの思し召しを見届けよう。
泉さん強いなぁとよく言われるけれど、私はもともと頑丈ではあるが
ボジティブ思考ではなく、むしろ魔除けを貼ったほうがいいレベルの
ネガティブ人間です。
それでも私がなにか少しでもよいエネルギーを抱えているのだとすれば、
それは蔵の神さまと銀次親分からのおすそわけに他ならない。
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今回多くの方が、これが自分に起きたら、と置き換えて震えていると思う。
どうか猫の死を、猫との別れを、怖れないでほしい。
「だから飼えないのよ動物は。別れが辛いから」という言葉をよく聞く。
私も風太が死んだとき、もう二度と無理と言っていたらしい。
確かに別れは気が狂うほどに辛い。どうかいっしょに死なせてくれと願う。
でも、この別れがなければ、銀さんとの夢のような4年間もなかった。
風太の死に留まっていたら銀さんとは出会わなかった。
エフの前に週一で三ヶ月も座り込み、入れてもらえるのを待っていた銀さんが、
それでも私に追い払われてとぼとぼ死んで行く姿を想像してごらんよ…
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迎えることと送ること、きっちり天秤にかけてみてほしい。
うれしいこと楽しいことかわいいことは当たり前に心を平らかに満たし、
悲しいこと辛いことはピンポイントで自分を襲ったように心を突き刺し
自分のすべてを凍らせてしまう。
けれども最後の最後には、絶対にぴったり釣り合っているはずなんだ。
この痛みが深いほどに、あの日々がすばらしかったということなはずだ。
生と死、光と影、その双方と、そのすべてと。
あ、白と黒… 銀さんはまんなかのグレー。
まんなか割れのハチワレのオトコ。
銀次親分を迎え、送れたことを、心から誇りに思います。
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どうしても行き場のないやりきれない気持ちを抱えてしまったなら、
外で凍えている猫たちに、家に帰れない犬たちに、
少しでも注いであげてください。
それはあの日の銀さんだったかもしれません。
その一歩に、銀さんが宿るのだと思います。

そしてそして、いま元気で生きている猫さんたちには、
ヘンタイの称号をほしいままにする愛情を。
私はその点では一切後悔していません。
ツンデレにつきすべて躱され、触るほうの愛情も
一切受け容れていただけませんでしたが、
とにかく口に出して伝えていました。

かわいいね、カクイーね、さすがだね、すばらしいね、
どうしてそんなにかわいいの、どうしてそんなにすてきなの、
あぁなんてすばらしいんだろう!
あぁ今日も銀さんと会えてうれしいよ!
だいすきだよだいすきだよだいすきだよ
ありがとうありがとうありがとう
だいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだからね

銀さんはヒトの言葉や気持ちがわかるからなおさらまっつぐに。
誰がどんな目で見ようと猫なで声キモイと言われようとお構いなし。
まぁそこも含めてパブリックだったので、
猫ギライなヒトには公害とも言えるかもしれないなw
そして銀さんの生きた日々をほぼすべて記録し、
全世界に向かって見せびらかしてノロケ続けました。
だから死も生と同じに、包み隠さないと決めていた。
触れることのできない銀さんへの愛の伝え方として、
これが私の選んだ方法でした。
抱くばかりが愛ではない(負け惜しみ)。
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4匹中1匹しか看取れてないオレ(マジか!)。
結局点滴針も刺せるようにならなかったオレ(驚愕の事実…)。
それでも、銀さんをまんなかに、
私たちは少しだけ広くなり、少しだけ強くなった。
ニンゲンたちが踏みつけ見捨てる命のことを、
より考え、一歩ずつ行動を始めた。
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年明けからあやこ隊長がいきなりの単独でチーム銀次はぐれ組として
雪の飯舘村へ給餌に行っておられました。
豆かあさんがネット経由の在宅オブザーバーとして見守っておられたり、
現地でメイちゃんに引っぱられて走って行った先でカミ先輩と遭遇など。
一度行ったら単独でも行けるし誰かに教えることもできる、
しかも初めてでも行ける、ということが実証されました。
まったくいつだって痛快だよ、あやこさん。
雪深い季節は私もまだ行ったことがなく、いきなりの単独は
たいへん心配でしたけれども、ご無事でなによりでした。
単位は十年。負担を偏らせず、全員がそれぞれにできることをして、
散らばって分担する。チーム銀次の目指すかたちです。
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カクイーカクイー銀次親分、
永遠にお慕い申し上げます。
我ら銀次子分一同、この涙の果てに必ずや立ち上がり、
胸を張って前に進むことを誓います。
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◇ ◇ ◇ ◇ ◇

ハァまだ大晦日の話…
斯様に時は無情に過ぎ、浅草は初詣でてんてこメリーなことになっており、
蔵にはお参りの方々も途切れず、鍋も煮ていたり、合間に書いたり。
そうして直後から書き続けているのは第一に自分のためです。
気が紛れるとかではなく、むしろどっぷり自分から浸かりに行ってる。
浸かって掬って握って、覚えているうちに書き留めないと
すべて真っ白になってしまいそうで、「辛く悲しかった」しか残らなそうで。
いま自分にできるのは、銀さんがいたときと変わらず書くことだけ。
何を見ていいやらわからなくて、カメラも置きっぱなし。

お礼のページも専用に作らねば。です。作ります。
スライドショーも増やします。
アホみたいに写真撮っておいてよかった。

寄り添ってくださるみなさまのお気持ちに感謝します。


銀次親分の初七日に


Gallery ef, Asakusa, Tokyo
by ginji_asakusa | 2014-01-04 17:30 | 生きるチカラ | Comments(12)

チーム・エア歯

昨日のヘロヘロ記事にカロ店長とこのちぐささんがコメントくださり、
お友だちの猫さんが抜歯してひきこもり状態とのこと。心配ですな。
どのような治療をしたか、という質問をいただきました。

コメント欄にお返事を書き始めたらアホみたいに長くなった上に
自分でブログ風に作っていた旧ブログの構造がこれまたアホで
参照しづらい。写真も小さいし字も小さい。直すのめんどくさい。

というわけで、過去の写真を引っ張りだして、こちらに書くことにしました。
うむ、カメラを忘れたときは2011年以前の日記をやりなおすコーナー
ってのも、いいですな。当時は「"今週の" 銀次親分」だったもんで、
今ほど日々のことが詳細ではないのです。


さて、銀さんの場合:
銀さんも 2009年11月の保護時すでに3本くらい歯が腐っていて、ひどい口内炎で
常に血の混じったよだれを滝のように垂らし(最初は食いしん坊だと思っていたのだよ!)
ステロイドや抗生剤を繰り返しても改善しませんでした。
そして病院の勧めで、全歯抜歯することに。
「看板猫が歯ナシでどうなの?前歯だけ残す?」と言ってくれた先生もいましたが、
残すと問題も残り再発するのは同じことだそうで、抜くなら全部、ということでした。
ちょうどそのとき病室に居合わせた大きな茶トラ猫さんが
銀さんと同じFIV陽性で口内炎を抱えていて抜歯して改善したと言っていて
そうなってほしいな、と励まされました。

仕事に生き甲斐を感じ、何事も約一週間で乗り越えてゆく銀さんですが、
さすがにこのときは復帰まで20日くらいかかっていますね。
今までいちばん大きなできごとと言えます。


2010年7月12日に抜歯のため入院。
一晩で全部の歯を抜きました。そう頼んだわけではありませんが、
麻酔の危険もあるし、分けてやるようなものではないんでしょうな。
担当だった女の先生はとても力が足りず、
若い男の先生がほぼひとりでやったと言っていました。
猫の歯ってものすごく歯茎の中の部分が長いんです。
見えてる部分の3倍くらいあります。たいへんな手術です。
抜いた歯の写真もありますけどショッキングなので自粛。

こちら入院中の銀次親分。
カラーに貼ったおしっこ(吸水)シートも血まみれ。
点滴した手が腫れてすごいことになってます(カワイイ…)
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見舞ったらいちおう安心して白目剥いて寝てるところです ↑ 笑うトコです。


16日、退院して真っ先に向かったのは私の机の横の窓の桟の
いちばん奥でした。つまり誰にも届かない場所でした。
ここに2時間隠れていました。
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血の混じったよだれがだらだらなので、手ぬぐいをよだれかけにしました。
じっと動かず痛みに耐える銀さん。真横で見てるだけというのは辛かったです。
もともと抱っこも嫌いだし、触んなオーラ全開で、なぐさめようにもどうにも…
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ニンゲンも歯を一本抜いただけで寝込みますからね。
ナオトさんも、親不知を一本抜いただけでほっぺを腫らして
やわらかいものしか食べられず、3週間くらいイテーイテー言ってました。
一晩で全部抜いて(30本?!)、どれほど痛く、負担だったろうと思います。
それでも改善されない場合さえあるというのだから、どんだけ賭けなんだ。
しかしまずはその大手術を耐え抜いたことに感謝。


窓の奥から出て1時間経ってそろそろと階段を降り、
上から二段目で1時間過ごし、ようやく四段目まで降りる。
自分のテリトリーを見下ろしながら。
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四段目で2時間寝る。
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また窓の奥に引きこもる。その夜は一階には降りませんでした。
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退院から12時間後の17日午前4時、江戸通り見張り業務に復帰。
入院前からだから久しぶりの外の匂い。
退院してまだ一度もごはんを食べていません。
口の周りのよだれや血を拭いても痛がるので、薬も飲ませられない。
ともかく、「オレに触るんじゃねェ!」という感じでした。
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退院翌日、17日の午後、窓辺で与一寝。さぞおつかれでしょう。
夕方には雲&龍父さんと玄関でちょっと遊んだね。
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ごはんを食べないのが心配で、その夜は先生たちが点滴に来てくれました。
二階の事務所ソファで、5人掛かりでした。
でも食べなかったのは結局「メシがマズい」という理由だったのでした。
先生が「食べないよりマシ」とウマいメシ許可を出すもんで
あげてみたらバックバク食べました。呆れたー


[息抜きに]その頃のれんちゃんほやや〜
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19日、ようやくカフェでゴロン。ここで抜歯から一週間、退院から3日目です。
まだ人前には出せない感じの口周りでした。
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23日、退院から一週間で、蔵に復帰。カクイー
アゴが細くなった気はします。
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ごはん皿の前で "ウマいメシよこせ" 行き倒れデモ。
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入院中せっかく痩せたのに、またまた横になっても盛り上がったままの
立派なおなかになるほど食欲旺盛でした。
というのも、「食べないよりマシ」と許可されたウマいメシは
そらウマいわけでして。腎臓保護食に戻さなくてはならないのに、
銀さんは、病み上がりを言い訳に意地でも戻らない構え。

口周りは触らせず、薬はうまく飲ませられませんでした。
薬をウマいメシに包んで団子を作り、なんとかだましだまし食べさせていましたが、
うまく残すんだなコレが…

ただ、なんであれ食べてくれたことはありがたかったです。
外にいた頃から銀さんは腐った歯で相当な痛みを抱えていたはずで、
それでも喰えるもんは全部喰っとく!という意地で何でも平らげていました。
歯が悪くなると食欲が落ち、死に至るわけですから。
手術後も12時間を待たずごはんを食べ、先生もびっくりしたそうです。
痛みより食欲が勝ったわけですね。

24日、琵琶ッチの公演がありバーにも復帰して大勢のお客さまをおもてなし。
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この頃には痛みによるよだれがだいぶ減ってきました。

27日、退院から11日目、キツく吊り上がっていた目がようやく丸くなり、
"触んな" バリアが外れ、信頼関係が戻ったというか赦されたというか、
そんな感じがしました。「赦された」というのはこちらの勝手な感情で、
銀さんは私や先生を恨むなんてことよりも、ともかく目が覚めたら歯はねえわ
トンデモ痛いことになってるわで、その痛みとショックと現実と、
ただ必死に闘っていたのだと思います。
他のことに構う余裕なんてないくらいに。
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30日、初めて血よだれが止まりました ↑ 抜歯から18日かかっています。

翌31日には隅田川花火大会を満喫しておられました。
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こんなふうに、ちぐささんのお友だちにお伝えできるような
「治療」は私はしていません。薬さえ満足に飲ませられなかったのです。
銀さんが嫌がることは、病院の先生でさえできないのです。
なのでこれも、銀さんがひとり自力で乗り越えたと言えると思います。

そして、私よりも遥かに社交性の高い銀さん。
みんなのもとへ、いつもの日常へ、戻りたいという意識はあったと思います。
なのでむしろ私は、心のケアをしていたように思います。

銀さんが「心の傷」を負い、プライドが傷ついたことはハッキリと感じました。
引きこもりなんて言葉よりもう少し重い感じでした。
以前のようにイヤなときに歯を剥いたり噛み付こうとして、ハ、と自分で気づいたのです。
歯を剥くだけで十分な威嚇になるのに、一番の武器なのに、それが効かないと気づく。
スゴスゴと立ち去るそのときの銀さんの顔が忘れられません。
今でも、壁や隅に向かってジーと座り込んでいると、
みんなで「クライクライ!」と笑うのですが、時々、
辛かったときのことを思い出しているんじゃないかと思ったりします。
眠いだけかもしれません。

だから絶対に笑ったりしません。
お客さまにも先生にも「痛くないもんね〜」「歯がないもんね〜」って
からかう口調で言わないようお願いしています。
銀さんは、いや、猫は、言葉はわからなくても話がわかるから。
ウソでも、怖がったり痛がるようにしています。
でなけりゃ銀さんは「イヤ」を表現できなくなってしまうから。

その後、一時カリカリを食べていたらやはり歯茎が傷つくようで
よだれが再開したので、以降缶詰だけにしています。
ヒモで遊ぶ時は歯茎でくわえているので、ギィーと引っ張らないようにしています。
歯を全部抜いても改善しなかった例もあるそうなので、経過観察は必要ですね。
痛いと出て来るよだれが目安になるのかな。
けっして、食いしん坊だからではないのだよ…
(さすがにこれは先生に「まさかッ!」と怒られただよ…)

自分の姿を受け容れた銀さんは今もエア歯で噛むし、恐ろしいシャ=ww を言いますよ!
口にも、歯がないことも、今のところ一切なんにも問題ありません。
知らないお客さまには「甘噛みできてエラ〜い」と褒められます。ヘッ

当時の日記にこう書いていました。
歯がなくても猫は問題なくごはんも食べられるそうです。
外にいればケンカには負けますが、銀次はもう外に出ることはありません。
「歯がなくなってしまった」のではなく、
「長年銀次を苦しめてきたものがなくなった」と思うことにしました。
引き続きあたたかく見守っていただけますようお願いします。

脚が3本になっても、目が見えなくなっても、
やがて動物たちはその姿で生きようとする。
同情も不要。自分には自分のプライドがある。
ショックから立ち直ったらきっとまた元気に戻るはず。
戻るには時間がかかるはず。ニンゲンだったら、どれだけかかるでしょう。
それよりは、早いはず。
無事の復帰をお祈りしています。
元気になってほしくて、またまたいっぱい書いてしまいました。
長いわりに参考にならない気がしますけども…

チーム・エアー〜 ハッ! [銀]


その合間に、鍋煮て、琵琶ッチこと友吉鶴心『花一看』のチラシ作って入稿。
いまどきは何時でもウェブ入稿できるから、ほんとに便利…
印刷屋さんありがとうおつかれさまです…

完成版[こちら]。来週水曜から配布します。
平家が壇ノ浦に沈むもんで、「もっとあぶくがほしい」など
琵琶ッチに電話で言われながらぶくぶくしましたよ。
第1話から瑠璃、瑪瑙、琥珀、という色味も、琵琶ッチのディレクション。
第4話まで宝石をコレクションしてくださいませ。
共通で中央に入っている鐘の絵は、「祇園精舎の鐘」なんですョ。

第3話の今回は『壇の浦』の全曲を演奏します。
毎年12月は「別会」として赤穂浪士討ち入りの『雪晴れ』を演目にしているのですが、
琵琶ッチが芸能指導を務めた大河ドラマ『平清盛』も先日クランクアップしたことですし、
今回も平家の物語が続きます。
歌詞カードに入りきらないほどの大曲。渾身の演奏をお聞き逃しなく!
月夜の森 11』参加、12月15日(土)15:00/19:00の2ステージです。

予約受付開始の昨日からさっそくお申し込みくださったみなさまは
全員ブログ読者の方々。ありがとうございました〜
月夜の森で、満月と見まごう銀色猫とともにお待ちいたしております。



Gallery ef, Asakusa, Tokyo
旧ブログ『今週の銀次親分』

by ginji_asakusa | 2012-11-02 14:09 | 生きるチカラ | Comments(6)

DAY OFF:寄り添う

24:00前から浅草はふたたびの豪雨&雷。
歩道がみるみる川に。
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母と銀さんとれんちゃんとたくさんの荷物とでタクシーに飛び乗る。

自宅にて、れんちゃんになんとか水だけは飲んでほしいと思い、
何度も何度も閉じた歯を押して水を流す。
するとようやく、溺れて人工呼吸で息を吹き返したヒトみたいに
グハッと目を覚まし、口を開いた。開いた!開いた!
病院から帰って無理矢理数滴押し込んだごはんが6時間経って口に残っていた。
久々に開いた口の中は乾いていて、クチャクチャ開け閉めしているので、
その隙に薬も放り込むことができた。4粒全部。

はぁもう母さん感激、と一息ついていると銀さんが…
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いやん
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軽くフレーメン
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あっ……
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まさかの… 寄り添い……
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猫の子分であられるみなさまにはおわかりでしょう。
これをヤラセようったってできないことを。
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動画でどぞ。(れんちゃんのハラは動いています)


涙腺崩壊ッス、オヤビン…
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[初めてれんちゃんの看病に遭遇したときの銀次親分:こちら

何事も諦めるもんじゃないね、ムリと決めるもんじゃないね、
ってことを、私は幾度猫たちから習ったことだろう。

銀次親分、あんたはオトコの中のオトコだね。
ありがとう…
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午前3時、いつものように背中から抱いて布団に入る。
れんちゃんの微かな息の音を子守唄に眠る。

午前6時、トイレに起きる(オレ)。
れんちゃんすやすや。

午前11時半、目が覚める。

私の腕の中で
れんちゃんの呼吸は止まっていた。

体温計で測れないくらい、昨日から体は冷たかった。
今はさらに冷たく、そしてすでに固くなっている。
6時と11時半のあいだ、
れんちゃんの心臓は、
ろうそくの灯がジジジと燃え尽きてふっと煙になるように、
巻き忘れた時計の針が止まるように、
静かにそっと、その鼓動を止めた。
抱いて寝たときの姿のまま、もがいた形跡のひとつもなく。
れんちゃんは私を起こすことなく、旅立った。

前日に先生が「点滴もごはんも不要」と言ったので、
ならば三日と保つまい、と思っていた。
今では24時間いっしょにいるので看取れないことはないけれど、
苦しまず、眠るように旅立てたらいいなと思っていた。
でも今日は用事があり出掛ける予定だったので
どうするかなぁ、と思っていた。
神さまとれんちゃんが決めた旅立ちは、定休日、
目覚ましをかけずに私がぐっすり寝ている時刻だった。
風太も定休日だったけれど、私は出掛けていて風太は病院にいた。
今回も看取れなかったらさすがに立ち直れないところだった。
「眠るように」と言うよりも、
「眠った」という言葉がふさわしい最期だった。

ボーーとリビングを見やると、母はすでに出勤していて
空のベッドで銀さんが座ってこっちを見ていた。
銀さんは昨夜わかっていて、見送るために寄り添ってあげたんだね。
どうもありがとう。れんちゃんきっと安心だったよ。

いつになく神妙なお顔の銀さんです。
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母に電話して午後の予定をキャンセル。こちらもだいじな用事だったけれど。
母はすぐに段ボール箱とお花を持って戻って来てくれた。
段ボール(銀さんが寝てたやつ)、これ大きすぎでしょ!と言ったものの、
手足を伸ばして「ヒ」の字で寝ていたので、入れてみたらギリギリだった。

スリングに包んで送ってあげたいと miikoさんにメールした。
心を込めて縫っていただいたものを焼いてしまうことになるわけだけれど、
最期まで私とれんちゃんを繋いでいたものだから。
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miikoさんも泣きながら「喜んで」とお返事くださり、
花に包まれてれんちゃんのお支度が完成。
目は最期まで閉じなかった。
でもれんちゃんは目を閉じるとブサだから、そのままでいいや。
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ほんとうにね、眠っているようにしか見えない、穏やかなお顔です。
いただいた観音さまのお守り、他、金具の着いていないお守りも入れた。
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16:30、風太を送った浅草橋のペット霊園へ。
お別れをしたいというヒトたちの顔が浮かんだけれど、みなさんはお仕事中。
一日待つよりも、私が休みの今日、儀式を済ませた方がよいと思った。
そのために今日なんだろうと思った。
母と友人が同行してくれた。風太と同じく個別立会葬を選んだ。
釜の前で、がんばったね、ありがとう、と最後のお別れ。

小一時間かかるので、近くの昭和テイストの喫茶店へ。
カフェオレについて来たスプーンがたぶん間違っていて可笑しかった。
飲んでいるといきなりおじいさんがやって来て
「ブランデー入れてあげよっか」とニコニコ立っている。
「いや、酔っぱらっちゃう…」しかしすでに瓶は斜めになっており、
「あぅ、じゃあ一滴」と言う間もなく、っていうか聞くつもりもなく
ドボドボ入れられてしまった。ヒエー
しかし意外に心落ち着く香り。
そして飲んで、コーヒー共々おいしかった。
ヒトの葬儀もそうだけど、泣いたり笑ったり、するよね。
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振り返ろうとすれば目眩がするほどの時間と想い出。
今はれんちゃんの体を送ろう。17:30、染まり始めたこの空に。


火葬が終わり、15年と5ヶ月間れんちゃんの体を支えた
小さな骨の群を目の前にする。
ちいせぇぇぇー…

ヒトと同じに長いお箸でお骨を拾う。
誰にも同じことを言うのかもしれないけれど、係のおじさんは
「お祭りの砂糖菓子みたいに白いですね、普通はもう少し黄ばんでいます」
「小さいけれどけっこうしっかりしていますよ」と言ってくれた。
「目が見えなかったからあんまり動かなかった骨ですけれど」と言うと
その方は「うちのコは声が出せない猫でした」と言った。
「買ったコなんですけどね、しばらくしてから気づいて。
(心の中でオレ:「買っちゃダメですよ!」)
 でも一度家族になったら返品交換なんて思えませんよね」「ンダ!」

喉の骨がハート形にくり抜けていてかわいかった。
「写真撮りたくなっちゃうね」とふざけると
「お骨の写真を撮るのはどうにもいけません」とたしなめられる。
撮りませーん。


ほかほかの骨壷を抱いて帰る。カバーの色は黄色がなかったので赤にした。
浅草橋の駅前で、れんちゃん頼みで母と宝くじを買う。ハハ
帰り道、まずは観音さまへご挨拶。
れんちゃんの魂は、観音さまと風太にお預けします。
どうぞよろしくお連れください。

そして病院へ。
今日は院長先生がセミナーで不在とのことだったので、朝メールで報告しておいた。
昨日の時点で、先生たちはもうわかっていただろうと思う。
おなかの中身もきれいにしていただき旅立ててよかったです。
みなさん出て来て次々に慰めてくださった。慰めるというより、
れんちゃんのこれまでのがんばりを讃えてくださった感じだった。
「動画も見たー 銀次もがんばったね」
泣けてしまうのでロクにお礼も言えやしねえ。
でも哀しみに暮れ涙に溺れるという感じではなく、
なんというか、れんちゃんの尊厳を守り、
「大往生だったね」と後悔のない清々しささえあった。

エフで使っていて残った大量のおしっこシーツを献品。
一旦家に戻り、家にも大量に残っているシーツとフードを持って再度病院へ。
合計ですごい量になった。なんせ S/M/L の三種類が二カ所にあるのだから。
あ、オムツも。サイズが合わなくて一枚しか使わなかったなぁ。
フードは返金していただけた。
天使の看護士さんが「レモンちゃんは//さんが飼い主で
ほんとうによかったですね」と泣きそうな笑顔で声を掛けてくださった。
私の右足の上では、巨大すぎるサモエドくんが転がっていて
全身でモッフにダイブしたかったけれど、また泣いてしまう前に辞去。
ほんとうにお世話になりました。


はぁ銀さんただいまー
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留守番だったのに、迎えにも出て来ない。
凹んでおられるの? そうね、さみしいね。
これで銀さんはひとりっコだね。
あっちの部屋にれんちゃんはもういないよ。
さみしいね。
シーツの包みが減って、部屋がスカスカですよ。
ケージも畳んだら、もっとスカスカですよ。

れんちゃんが寝ていたおしっこシーツを片付けに行くと、
小さくシミがあった。色は濃いけれど匂いはほとんどしなかった。
いらないモノ全部出して、身軽だったね。
もうどんな不具合に苦しむこともないね。
目が見えないこともうまく歩けないことも、
生まれつきだからまったく気にしていなかったれんちゃん。
生涯で何度の発作に襲われただろう、もう数えなくていいね。
発作も入院も手術も投薬も、今は全部忘れたい。
そうして箱の中で生かしたことが正しかったのか、今は考えたくない。
いつだってれんちゃんはムクムクと自力で立ち上がって来た。
もうこれで終わり、とこちらが決める余地などないほどに。
盲目の瞳のその奥に、いつでも命の光を映し、私たちを照らしてくれた。
最後の二ヶ月半のその姿、特に8月のミラクル連発は、あまりに眩しい。

おつかれさま、ありがとう、あなたと生きられてしあわせでした。
それはどんな言葉にも書ききれないくらい、
あなたは私の命の一部でした。


お祈りくださったみなさま、お守りを送ってくださったみなさま、
メッセージを送り続けてくださったみなさま、
会いに来てくださったみなさま、今日にも会いに来ようとしてくださったみなさま、
心に留めてくださったすべての方に、感謝を申し上げます。

私、寝過ごすという大失態ながらも ( ̄^ ̄)
なんとか初めてこの腕で我が猫を看取ることができました。
母としてパートナーとして、こんなにしあわせな最期があるだろうかと
たくさんの想い出を噛み締めているところです。
今はれんちゃんの光が眩しくて、ぽうっとしています。
そのうちもっといろいろ思い出しては、穴の空いた感じがしてくるのかもしれません。
でも、私がれんちゃんとともに生きていることに変わりはありません。
優しい言葉もお贈りいただき、しばらくは涙もろい猫おばさんだと思いますが
どうかご心配なく。
しあわせな一日でした。

現在も闘病中のすべての猫さんと飼い主さんが
命の煌めきが照らす道を迷わずともに歩めますよう祈ります。



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旧ブログ『今週の銀次親分』
by ginji_asakusa | 2012-09-25 23:52 | 生きるチカラ

愛だけ

昨夜はバー早じまい(日祝は一応 21:00 L.O.)で、帰宅後メシ喰って
とっととひとりでベッドへ行き、バタンキューの銀次親分。
着いてすぐに体を拭いておいてよかった。
おつかれさまでしたね。
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れんちゃんにごはん。
この一週間はまったく立ち上がっていない。寝返りさえしない。
この三日間は首も据わらなくなって来た。体も冷たい。
命の灯は、いつ消えてしまってもおかしくない弱々しさ。
だから miikoさんに無理を言ってスリングを完成させていただいた。
店でも、調理時間以外ずっと巻き付けている。

昼間はなんとか定量を食べさせられたけれど(とはいえ従来の半量)
夜はまったく口を開かなかった。
いつもはそれでも歯の隙間から無理矢理入れれば口を動かし始めるのに、
歯は閉じたままで液体はただ口の脇を流れてゆくばかり。
根気よく続けると突然、目を覚ましたように口が開いた。
5ml シリンジ 3本を目標にゆっくり食べさせる(昨日までは10〜12本)。
全部で 4本を飲み込んだ。薬も飲み込んだ。

血糖値と薬の血中濃度を下げないようにすることは、
癲癇発作を防ぐためにずっと続けて来たことで、
今のれんちゃんにそれが必須かどうかはわからない。
この状態で大きな発作が起きたら終わりな気もするし、
この状態でどんな脳の信号も機能しないような気もする(非科学)。
それでもやっぱり動物にとって、食べることは生きることだ。
れんちゃんの反応が意志なのかどうかもわからないけれど、
それでも少しだけ食べ、生きている。

よく食べたね、もう終わりにしようか、と立ち上がると、腿の辺りがじょわり。
おぉ、おしっこ出たの、よかった!
お尻を見ると、肛門が盛り上がっている。
ンコではないか!
この状態で、よくここまで下がって来てくれたねンッコ ウエルカム! щ(゜д゜щ)
急いで母にシーツやティッシュを持って来てもらい、ンコをつまみ出す。
けっこう大きい円盤ぞ。
釣られておしっこも結構な量にじみ出した。ウエルカム!

と、ドタバタやっていると、

 ・
 ・
 ・

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銀さん… ありがとうね… (ノω・、)

れんちゃんの耳や鼻の匂いを嗅ぎ、液体メシの匂いを嗅いで
ウッヘという顔をして、静かに暗がりへ戻ってゆく銀さん。
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れんちゃん、がんばらなくていいよ、
どうか穏やかに。
私もみんなも銀さんも風太も、ついているからね。
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銀さんはふたたび深い眠りへ。
よくおやすみ。
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れんちゃんと布団に入り、唯一微かに動いている胸のあたりを見つめながら
この二ヶ月半のことを想って久々に涙がこぼれた。
さすがにもう立ち上がることはないであろうれんちゃん。
あの7月の危篤とその後のミラクルな日々があったから、
「失われてゆく」という感覚がない。
年老いたれんちゃんにとって、とても自然なことに思える。
ここに落ち着くために、れんちゃんはこの最後の時間をくれたのだと思う。

今日は病院行っておしっこ出してもらおうね。
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朝、れんちゃんは寝たときのままの姿勢で、まだ息をしていた。
母が自転車に銀さんを乗せて先に行ったので、
れんちゃんをキャリーバッグに入れて徒歩。
途中言問通りで、腿の辺りがひんやりした。
ム、揺られておしっこ出たか、うっしゃウエルカム!
でもおしっこシーツも敷き詰めてあるのになぁ… ズレちゃったかな…
まぁ仕方ないのでバッグの向きをひっくり返して歩く。
うはーオレ匂うわー でも気にしなーい(してられない)

エフに着いてれんちゃんを出してみると、なんと全身びっしょり。
そしておなかペッコリ。ぜ、全部出とる… いい揺れだったのね。
シーツはズレたのではなく、吸収しきれず溢れたのだった。
(300mlをSサイズではムリ)
自力とは言えないけれど、まずは出たことを喜ぶ。
前回膀胱炎と診断されたときほど色も濃くないし。
そしてこりゃ、拭いたくらいじゃ落ちないぞ…

キッチンに入るのは断念して母に任せ、事務所の流し場でれんちゃんを洗うことにした。
たらいにお湯を溜めて、久々のお風呂ですよー ほやー
しかしここにはドライヤーがない。
30℃には至らないが今日は晴れていて、店前にまだわずかに正午の陽が差している。
縁台でタオルドライ。

れんちゃんと歩道。斬新…
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お日さまの下ではれんちゃんがずいぶん赤毛であることに気づく。
通りがかったご夫婦が浅草寺への道を尋ね、それは猫?とれんちゃんを見つけた。
事情を少し話すと、「17歳で死んだうちの猫、お風呂に入れてあげて
数日後に姿を消したの。五歩くらい歩いては倒れてしまうくらいだったのに、
死ぬ姿を見られたくないって言うでしょ、近所のどこを探してもいなかったの」
と話してくださった。
「このコは生まれつき目が見えないのでどこにも行きませんの」
「それはそれは、かわいがって来られたのねぇ」
ハイ。

陽がビルの陰に隠れ、私の濡れたジーンズも冷たくなってきたので
中に戻る。れんちゃんをタオルに包んで、miikoスリングに入れる。
あとは私のハラ温度+お湯バッグで温める。


銀さんは朝から蔵の二階におこもり。
出勤してメシ喰って、まっすぐスタスタ土蔵に向かったそうです。
蔵の階段を上がろうとしたらカフェにお客さまがご入店で、
戻って来て一通り接客&カメラ対応をして、再び蔵に戻ったそうな。
完全に、あそこで寝ると決めておられるのですな。

外国人観光客が蔵を見たいというので案内 @14:00
銀さんおはよー
あらそんなところでも身繕いですか。
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挙げた足がちゃぶ台の天板につっかえて都合がいいようだ。
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そしてまた寝る。
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夕方、浅草から成田へ向かい、7ヶ月ぶりに帰国するリチャード。
ギリギリまで、展示に必要なモノを揃えてくれたので預かる。
あとはおまかせだよー
銀さんも起きて来てご挨拶&パッキングを応援。
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あらカックイー
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ヒョコカックイー
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17:00、合計 60kg近い荷物を手伝って、ナオトさんとホームまで見送り。
唯一のエレベーターがあるのは駒形橋のA1入口。
お年寄りも多く、外国人観光客が成田からまず訪れることも多い浅草駅の
この不便さは、ホントどうにかすべきと思う。
ともあれリチャード、石巻との出会いをありがとう!
よい展示を作ります。 また会う日まで! hug hug


18:00、れんちゃんと病院へ。
おしっこはもう空だけど、ンコがまだ残っていそうなのと、
昨日ほとんど食べていないので、点滴など、
他に今できることがあるかどうか知りたかった。
miikoスリングは室内用だけど、昼に洗ったバッグはまだ乾いてないので
ハラに巻いてゴー。アーケードや境内、なるべく車の走ってない道で。

まず体温、検出限界以下… って何度なんですかと尋ねると、
34か 35だったかな、とのこと。ともかく低いんですね…
寒かったら体が震えるそうなので、寒くはないそうだ。
特にものすごく温める必要もない、布団の中とか、30℃くらい、とのこと。
うむ、それならハラでだいじょうぶだな。

温水浣腸でンコいっぱい出る。
食べる量が少なくてもこんなに溜まるんだなぁ。
おしっこも少々。膀胱炎の炎症と思われる粘膜もどろどろたくさん出た。
終わって体重は意外に 1.61kg。1.5以下も覚悟していたけれど
なぜかちょい増えた。

・首が据わらないのはなぜ?」
 「もう支える力はないよね、意識もないし」
 ふむ。

・薬を入れるつもりはないが、栄養分など点滴の必要は?
 「迷うところだけど、このままでいいと思う。
  元気にさせてどうする? ってことです。
  検査もねぇ、やればできるし、
  心不全を起こしてたりもするのかもしれないけれど」
 そうですね、もう、老衰ということで。
 この状態でよくぞ生きているな、って話だと思います。
 今のところ胸の音もしていないし、まったく苦しそうではないし。

・ごはんは無理矢理でも食べさせた方がいいですか? 薬は?
 「ごはんは食べないなら無理じゃなくていい。
  でも薬は切らすと痙攣が出てしまうから、続けた方がいい」
 了解です。

・最期は、苦しむ場合もあれば眠るように逝くこともあるんですか?
 「あるある、眠るように」
 よかった。そうだといいな。

・意識がないってことは、苦しさも感じないとか?
 「そう言われてはいるけれど、ほんとうのところはわかりません」
 そっか。

「では、点滴ナシで、これで行きましょう」
「アイ」(miiko スリングにれんちゃんイン)
「えーそれ、すごーい」
「うんお客さんが作ってくれたんです。これで一日中体にくっつけてます」
「いいですね! それで行きましょう」
「アイ!」

針を刺すんじゃなくて、あなたにあげられるものは、もう愛しかない。

一種類だけ足りなくなっていた抗けいれん薬をもらって帰る。
今回は、一週間分にした。
ドア開けるとザー雨&雷…
看護士くんが、銀さんのメシ2ケースをガムテで合体させた上に
がっしりとビニール袋で梱包してくれた。
循環ビニ傘を借りて自転車で慎重に帰る。途中で降られなくてよかったよ。

戻ると銀さんは蔵でおやすみ。
れんちゃんにごはんと薬をトライしてみる。

ダメだ… 完全に口が閉じている。どうやっても開かない。
隙間もない。鼻に息を吹いてもダメ。
耳に息を吹いても何も感じないくらいだもんなぁ。
鼻の穴を閉じても… いやいや、これは死んでしまう。
両手を使って下あごの骨を持ってグググ、と引っぱり
結構な力をかけてみても開かない。ほんのわずかには開くけれど、
二人掛かりでも薬を放り込むところまでは開かないだろう。
指で塞いでも開いてしまう瞼や、てんかん発作の時の痙攣と同じに、
尋常でない力で完全にロックされているようだ。
なにか道具を… いやいや、首も支えられないようなれんちゃんの
か細い顎を砕いてしまいそうだ。この期に及んで外傷は避けたい。
意識がないわけだから、拒否の意志で硬く閉じているわけではないのだが。
がんばらなくてもいいけど、薬飲めないと発作が…

はぁ 涙落つる。
昨夜よりも遠く、戻らない意識。
こんなか弱い猫の、口を開けてやることさえできないでいる。
れんちゃんの魂はもうすでにこの体から抜けかかっていて、
それこそを私は応援してあげるべきなのだろう。
いずれにしてももう長くはない。
れんちゃんが穏やかに旅立てるなら、私はいつだっていい。
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現在私のあぐらの上のれんちゃん ↑


なぜか銀さんは誰もいない事務所の小部屋に移動して麻呂顔。
ずいぶんナナメですなぁ。
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[おしらせ]
おおはた雄一さんのCD『おおはた雄一、ボブ・ディランを訳して歌う』は
昨夜完売し、販売を終了いたしました。
遠く他県からもお越しいただいた人気っぷりで、
本日も電話でのお問い合わせが…
引き続き、吉祥寺の「キチム」さん、
西麻布の「Rainy Day Book store & Cafe」さんではお取り扱いがあります。
他、おおはたさんの各ライブ会場にて、どぞ!
エフの『月夜の森』もふたたび「ライブ会場」になれますようがんばります。



Gallery ef, Asakusa, Tokyo
旧ブログ『今週の銀次親分』
by ginji_asakusa | 2012-09-24 22:13 | 生きるチカラ

DAY 4

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6:00AMに母を見送り、れんちゃんの看病に戻る。
エア安曇野から排泄ないまま二日半が経過。
夜中も何度もムクムク起きたけれど、おなかが重すぎて
立つことも歩くこともできない状態。
連動して四肢も麻痺している、悪循環。
今夜から旅に出るので今日はだいじなところです。


れんちゃんにかかりきりの間にも銀さんは、淡々と喰っちゃ寝。
ホリデー・スペシャルで、自宅でのお食事中動画をどぞ。



たまに文句ブーブー。



ベッドから転がり落ちたれんちゃんに、ここまで接近。
鼻を近づけて匂いを嗅ぎにいった。それでもシャーと言わなかった。
ふたりの大きさの違いが初めてちゃんとわかった。
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旅先の母の携帯から届いた風景。
同行のお友だちに強烈な雨女がおられて、当然雨なんですけど晴れ間に。
ひゃーきれい。心が洗われます。よかったよかった。
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ム、こちらも雲行きが怪しくなってきましたな。
窓から雨の匂い。
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丸三日が経過したため、れんちゃんと病院へ @16:30
 ・
 ・
 ・
いやー… すごかったです。
時に意地を張らないことも、だいじですな。
今日のは絶対に自力では出せませんでした。
なんせ安曇野と引き換えた分の、軽く二倍はありましたから。
大小ともに、絞っても絞っても出る、出る、その量に、
全員唖然呆然。
みるみるしぼむれんちゃんのおなか。 ふぅぅぅう〜
さすがに今日のれんちゃんはほぼ抵抗もせず、
「ムォー出しちゃってちょーだい!」とばかりに身を預け(ヒト三人掛かり)、
ほんとにもう… 動画に撮りたかったよ…

出たあとの体重 1.75kg。400gを排出したことに。
体温 37.1℃(まだ低いが35℃台よりうんとマシ)。
脈も心臓も良好。「きっとすごくラクなはず」だって。

ンコの形状を銀さんみたいに縦長に変えたいんですけどどうすれば!
と無茶な質問をしてみましたが、薬でゆるくすることはできても、
具合は悪くなるし、滞留時間が長いとどうしてもこのように
積み重なってしまうのは、仕方のないことだそうです。
ごはんも水分(240ml/日)も多いけれど、だからこそ生きているのだから
減らすべきではないし、こうして絞ればよいじゃないの、ということでした。
じゃあなんとか自力で出そうと運動させるのはむしろ負担?
ていうか無駄? と訊いてみたら、そんなことはない、運動はするべき。とのこと。

ともかく、三日は心臓にも負担のないぎりぎりの限度。
膀胱の張り具合でヤバさはもうわかる。
なのでこれからは、圧迫排泄もちゃんと選択肢に戻すことにしました。
なんせれんちゃんが今日はラクそうだったから。それがなにより。


家帰ってようやくごはん&薬。
すっきり元気なお顔。
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いろんなお顔。
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よかった、れんちゃん。
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か、かわいい……
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というわけで、本日もれんちゃんの排泄に捧げた一日でした。
机でPCに向かっておりますと、ケージから呼ばれる呼ばれる。
元気になっちゃってまぁ。

ハイ、じゃあ隣に座っててください。
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銀さんは、変わらず窓辺。見守ってくれてありがとうね。
きみよ、そのハラの膨らみが膀胱でないならなんなのか?
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愛する方たちを置いてゆくのは忍びないですが、
信頼する子分らにお任せし、このあと夜中に出発して旅に出ます。
一年半、ずっと心を掴まれてきた場所へ、お手伝いに行って来ます。
これから準備(遅)。
てか、今日なにも食べてなかった…

日曜の夜に戻ります。ごきげんよろしゅう。



Gallery ef, Asakusa, Tokyo
旧ブログ『今週の銀次親分』
by ginji_asakusa | 2012-09-06 19:24 | 生きるチカラ


浅草ギャラリー・エフの看板猫・銀次親分の日々。


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