閉ざされた村 1:猫
2月18日、午前2時に浅草を出発してチーム銀次は飯舘村を目指す。
村が未曾有の豪雪に閉ざされて3日目。
山梨や秩父での閉じ込めも解消されず死者も二桁になっており、
大規模で深刻な自然災害であることは明らかなのに、
国も動かず報道はオリンピック一色という不気味さの中、
「誰も助けに来ない」という怖さを想像する。
ただでさえヒトのいなくなった村がいったいどうなっているのか。
ヒトはいなくても、近づけなくても、そこには犬猫たちが残されている。
休みの日は毎週行くつもりだったし、心配すぎてじっとしていられない。
少ない情報をじりじりと追いながらすでに半日で頬がげっそりこけた。
顔も名前も知っている動物たち。命に関わることでなにか一つでも
できることがあるなら行く意味があると思ったけれど、
通行止めが解除されず除雪もされなければ近づくことさえできない。
自分が遭難したら余計な迷惑をかけることもわかっていたし、
サバイバルにおける自分のあまりの無能と非力がむしろ清々しいけれど、
(車のエンジンのかけ方さえ知らないんだゼ)
交通状況や現地の除雪状況を入手しながら、なんとか行かれそうだと
22時に決行を判断。慎重に行動し必ず無事戻るという約束で出発した。
先週来Hさんから、かんじきやスノーシューズなどの補助具がなければ
話にならないと聞いており、カミ先輩が注文してあったものの、
大雪の影響で出発までに届かず。
最低限の装備を整えるため、福島市の24時間営業のなんでも屋に向かうが
絶賛棚卸し中で臨時休業だった。なぜ今なのかよ…
他の山道具屋などは10:30開店で、さすがに待てない。
かんじきは売っていないと聞いていたけれど、
ホームセンターの9:30の開店を待って駐車場で仮眠。
徹夜で来てしまったので少しは寝ないともたない。
とても寝られる気分じゃないけど…
と言いながらぐうぐう寝てスッキリ。図太さだいじ。
ホームセンター二軒とも雪かき道具もすべて売切で、
子ども用スキー(499円…)2足をなんとかゲット。
村へ向かう。
ここらで時間記録のため写真を撮り始めると、唐突にカメラが壊れた。
撮れるには撮れるけれど、スイッチが切れずに変な音がする。
なぜ今なのかよ…
ま、2年使えば壊れるそうだし、銀さんに散々蹴られてたし、何度も落としたし、
この冬あまりのハードワーク@アウトドア@マイナス気温で、
雨、雪、水、よだれ、涙、鼻水、血、いろんな液体を浴びたしな…
でも壊れたのはレンズ部分だけどな… ハハ
考えてもわからんし、直せやしないので、
恐れ多くもカミ先輩が補助機を貸してくだすったよ。
全く使い方わからず、今回の写真はいつにも増してヘタでござるし
状況説明は猫撮る撮影写真で補う所存。(許可アリ ©猫撮る/表記ナシはオレ撮る)
10時すぎ、ようやく村に入る。
気温は前回ほど寒くなく、マイナス3℃くらい。風が強い。
何もかもが見たこともない埋まりっぷりで、さらに山の奥の地域のことを思うと
雪の重みと同じだけ心も重くなる。
道路脇はすべて車道からどかされた雪の壁。
車内からだと景色が見えないほど両脇に積まれている。
除雪でできた道はどこも一車線のみで対向車とすれ違えない。
所々に作られた退避場所や辻までバックしては譲り合う。
自販機の高さは183cmですと。
退避場所に車を置いて、一軒目 @11:00[前回]
プラッチックの留め具があまりに頼りない以外は、スキー快調。
[撮影:猫撮る]
床下への入口はもちろん埋まっており、
中にも大量の雪が吹き込んでいた。[普段]
でも床下までということは、ここは少ないほうだろうか?
出だしからスコップを車に忘れて来ており、猫撮る手で掘る。
いつもはドライを皿に盛るけれど、雪に埋もれて取り出せないので
非常事態の今日は(いつも非常だけど)袋を裂いて丸ごと入れておく。
雪が溶けるまでまだまだかかりそうだから、なんとかこれで食いつないでおくれ。
床下から出たり入ったりのキジトラ。サビはいなかった。
[撮影:猫撮る]
とてもおなかを空かせていた。あたりまえだ。
ズボボ、からの、何事もなかったようにスタスタ復帰。
これを一歩ずつズボズボやっていたらとても歩けない。
おもちゃのスキーでもずいぶん役立った。買えてよかった。
[撮影:猫撮る]
車に戻って次へ向かうため再び家の前を通ると、
床下から茶トラが顔を出してこちらを見ていたので
車道から再度のウェット給餌。[撮影:猫撮る]
途中、除雪作業の方たちに現在の状況や今後の予定を教えていただく。
徹夜での作業。ヒトのいない村でも、これだけの努力が。
しかし追いつかない。
二軒目/三軒目 @11:50[前回]
ここの3頭がいちばん心配で、真っ先に来たかった。
積雪は犬小屋がとっくに埋もれている高さだし、
鎖がどこかに引っかかっていれば犬もろとも。
はたして犬たちは、生きていた。
ちょうどお父さんが帰って来てショベルカーで雪かきをしていた。
今の今まで3日間、小屋なしで凍った雪の上にいたということ。
犬たちの声は涸れていた。それでも、生きていた。
お散歩できる状況ではないので、まずはお隣の猫たちから。
銀次亭カウンターキッチン開店だよー
[撮影:猫撮る]
今日のメニューはケイさんから大量ご支援いただいた缶詰と、
ヒロコさんからの焼きかつおにお湯とかつおぶしをトッピング。
うまうまだよー
いつもならこのキジ白くんと共に真っ先に迎えてくれるちーちゃんがいない。
ずっと呼んだけれど最後まで出て来なかった。
お母さんが保護してくれていることを願うけれど、
同じく飼い猫のはなちゃんはここにいる。
他にも飼い猫ではない白、黒、キジ、たくさん。
太っちょのビーグルはすでにシェルターに移ったと聞いていた。
この大雪の前に移れたコはしあわせだ。でもほんのわずか。
かつお狙いのキジ白くん。
トッピングだけ食べちゃダメですー
雪の上を歩くのは辛いのに、わずかの土の部分まで行っておトイレ。
はなちゃんは繊細なコなんだね。
おうち埋まっちゃったね…
村のヒトたちが口を揃えてこんなに降ったのは初めてと言う。
どんなに寒くて怖かっただろうね。
それでもここに、置いて行かなくてはならない。
[つづく]
Gallery ef, Asakusa, Tokyo
旧ブログ『今週の銀次親分』
村が未曾有の豪雪に閉ざされて3日目。
山梨や秩父での閉じ込めも解消されず死者も二桁になっており、
大規模で深刻な自然災害であることは明らかなのに、
国も動かず報道はオリンピック一色という不気味さの中、
「誰も助けに来ない」という怖さを想像する。
ただでさえヒトのいなくなった村がいったいどうなっているのか。
ヒトはいなくても、近づけなくても、そこには犬猫たちが残されている。
休みの日は毎週行くつもりだったし、心配すぎてじっとしていられない。
少ない情報をじりじりと追いながらすでに半日で頬がげっそりこけた。
顔も名前も知っている動物たち。命に関わることでなにか一つでも
できることがあるなら行く意味があると思ったけれど、
通行止めが解除されず除雪もされなければ近づくことさえできない。
自分が遭難したら余計な迷惑をかけることもわかっていたし、
サバイバルにおける自分のあまりの無能と非力がむしろ清々しいけれど、
(車のエンジンのかけ方さえ知らないんだゼ)
交通状況や現地の除雪状況を入手しながら、なんとか行かれそうだと
22時に決行を判断。慎重に行動し必ず無事戻るという約束で出発した。
先週来Hさんから、かんじきやスノーシューズなどの補助具がなければ
話にならないと聞いており、カミ先輩が注文してあったものの、
大雪の影響で出発までに届かず。
最低限の装備を整えるため、福島市の24時間営業のなんでも屋に向かうが
絶賛棚卸し中で臨時休業だった。なぜ今なのかよ…
他の山道具屋などは10:30開店で、さすがに待てない。
かんじきは売っていないと聞いていたけれど、
ホームセンターの9:30の開店を待って駐車場で仮眠。
徹夜で来てしまったので少しは寝ないともたない。
とても寝られる気分じゃないけど…
と言いながらぐうぐう寝てスッキリ。図太さだいじ。
ホームセンター二軒とも雪かき道具もすべて売切で、
子ども用スキー(499円…)2足をなんとかゲット。
村へ向かう。
ここらで時間記録のため写真を撮り始めると、唐突にカメラが壊れた。
撮れるには撮れるけれど、スイッチが切れずに変な音がする。
なぜ今なのかよ…
ま、2年使えば壊れるそうだし、銀さんに散々蹴られてたし、何度も落としたし、
この冬あまりのハードワーク@アウトドア@マイナス気温で、
雨、雪、水、よだれ、涙、鼻水、血、いろんな液体を浴びたしな…
でも壊れたのはレンズ部分だけどな… ハハ
考えてもわからんし、直せやしないので、
恐れ多くもカミ先輩が補助機を貸してくだすったよ。
全く使い方わからず、今回の写真はいつにも増してヘタでござるし
状況説明は猫撮る撮影写真で補う所存。(許可アリ ©猫撮る/表記ナシはオレ撮る)
10時すぎ、ようやく村に入る。
気温は前回ほど寒くなく、マイナス3℃くらい。風が強い。
何もかもが見たこともない埋まりっぷりで、さらに山の奥の地域のことを思うと
雪の重みと同じだけ心も重くなる。
道路脇はすべて車道からどかされた雪の壁。
車内からだと景色が見えないほど両脇に積まれている。
除雪でできた道はどこも一車線のみで対向車とすれ違えない。
所々に作られた退避場所や辻までバックしては譲り合う。
自販機の高さは183cmですと。
退避場所に車を置いて、一軒目 @11:00[前回]
プラッチックの留め具があまりに頼りない以外は、スキー快調。
[撮影:猫撮る]
床下への入口はもちろん埋まっており、
中にも大量の雪が吹き込んでいた。[普段]
でも床下までということは、ここは少ないほうだろうか?
出だしからスコップを車に忘れて来ており、猫撮る手で掘る。
いつもはドライを皿に盛るけれど、雪に埋もれて取り出せないので
非常事態の今日は(いつも非常だけど)袋を裂いて丸ごと入れておく。
雪が溶けるまでまだまだかかりそうだから、なんとかこれで食いつないでおくれ。
床下から出たり入ったりのキジトラ。サビはいなかった。
[撮影:猫撮る]
とてもおなかを空かせていた。あたりまえだ。
ズボボ、からの、何事もなかったようにスタスタ復帰。
これを一歩ずつズボズボやっていたらとても歩けない。
おもちゃのスキーでもずいぶん役立った。買えてよかった。
[撮影:猫撮る]
車に戻って次へ向かうため再び家の前を通ると、
床下から茶トラが顔を出してこちらを見ていたので
車道から再度のウェット給餌。[撮影:猫撮る]
途中、除雪作業の方たちに現在の状況や今後の予定を教えていただく。
徹夜での作業。ヒトのいない村でも、これだけの努力が。
しかし追いつかない。
二軒目/三軒目 @11:50[前回]
ここの3頭がいちばん心配で、真っ先に来たかった。
積雪は犬小屋がとっくに埋もれている高さだし、
鎖がどこかに引っかかっていれば犬もろとも。
はたして犬たちは、生きていた。
ちょうどお父さんが帰って来てショベルカーで雪かきをしていた。
今の今まで3日間、小屋なしで凍った雪の上にいたということ。
犬たちの声は涸れていた。それでも、生きていた。
お散歩できる状況ではないので、まずはお隣の猫たちから。
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ヒロコさんからの焼きかつおにお湯とかつおぶしをトッピング。
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いつもならこのキジ白くんと共に真っ先に迎えてくれるちーちゃんがいない。
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同じく飼い猫のはなちゃんはここにいる。
他にも飼い猫ではない白、黒、キジ、たくさん。
太っちょのビーグルはすでにシェルターに移ったと聞いていた。
この大雪の前に移れたコはしあわせだ。でもほんのわずか。
かつお狙いのキジ白くん。
トッピングだけ食べちゃダメですー
雪の上を歩くのは辛いのに、わずかの土の部分まで行っておトイレ。
はなちゃんは繊細なコなんだね。
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村のヒトたちが口を揃えてこんなに降ったのは初めてと言う。
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