3.11

おひさま出た! ソーラー・クッカー始動!
中には水を入れたお鍋と、リンゴが一個入っています。
沸くかなー 焼けるかなー
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ソーラー竹コプター、かわゆい。
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我らが塾長、レモン電池の仕上げ中。
部品は全部カンちゃんが作ってくれました。
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午後にはソーラー・クッカーの内部は最高75℃まで上がりました。
スゲー!
夏の日差しならごはんも炊けるし筑前煮もできるそうです。


日曜の 3.11。
浅草もカフェも普通に混んでいて、会の準備と営業とでドタバタ。
我々だけかもね、と話していたのだけど、なんと40人近く集まりました。
ゴクリ。
もともとはイッコさんと、「我々はこの蔵で追悼の時を過ごそう」ということで、
みなさんもよかったらゼヒ、という感じだったので、
なんとかその感じはキープしたかった。
何が起きているのか、何をするのが正しいのか、誰にもわからなかった震災直後。
それは今だって同じで、これが追悼です、なんてかたちにはとてもできないし、
したくもない。ただ、個人の気持ちだけだ。
それでもやはり、これだけ大勢だと、緊張します。


14:00、すべての電気を消す。
外の光とキャンドルのみ。
カイロも用意したけれど暖房はなくてもだいじょうぶな気温で助かった。
他に自転車発電、手回しラジオ&照明、電池で動くCDプレイヤー、
一番暗いトイレには非常用ランタン。そしてレモン電池の祭壇。
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まずは昨年以来恒例になった、地震発生時のご案内。
靴も脱いでいて扉も狭いので、パニックで出口に殺到するのがいちばん危ない。
震災当日は、重たい観音扉も揺られて閉まり、ぶつかった土が崩落した。
蔵の中には落ちて来るものは何もないし、構造上一瞬でぺしゃんこにはならない。
なので、土蔵の強さを信じて、そのまま落ち着いて
留まっていただくのがいちばんよい。 ということ。

そしてざっと今日の場ができあがるまでの説明。3.10 からの流れ。
その間ずっと、塾長のご友人がカフェで自転車を漕いでいてくれた。
3.10 照明のタケモトさんが朝から配線してくれたおかげで、
カフェにも蔵にも同時に裸電球が点く。

続いて、震災当日のラジオ福島の生放送の録音を流す。
これに関しては、津波映像のショックと同じく恐怖を呼び戻す効果があるので
事前におしらせして、聞きたくない人は外に出ていただくことにした。

この放送には、あの地震の凄まじさが刻まれている。
かつて聞いたことのないほどの轟音(振動音)の中で、
一切声を震わさずに次々と思いつく限りの避難を呼びかけ続ける
アナウンサーの叫びが、災害に立ち向かい命を守ろうとする
人間の勇気を象徴している。深野健司さん。
直前まで、スイーツの試食をしていてまさに口に頬張っていたところだ。
こんなとき、自分ならこんな風にできるだろうか、と戒めるためにも、
何度も聞いた。何度聞いても涙が止まらない。
誰も席を立たず、みんなで聞いた。



改めて聞くと、なんと長い、長い長い揺れ。
亮クンのチャングが、恐ろしい轟音を鎮めるようにかぶさってゆく。

鎮まれ。鎮まれ。

そして空白。
その後の津波の被害について、言葉はいらない。
静かにイッコさんの踊りが始まる。
そのうち壁に登り始めたイッコさんの体に、
扉から差し込む外光とそれを遮る車の影がうねうねと当たり、
波に呑まれてゆくようにも見えた。
猛火を耐えた土蔵と、地鳴りと津波。
失われた命を悼み、私たちはこれからもともにこの国で生きてゆく。

14:35から、現在のラジオ放送をかぶせる。
しかしこれが選局ミスで、音楽ばかりかけていて、14:46の鐘さえなかった。
14:45の時点で曲が始まったので、これは時報がないなと判断し、
電波時計を見ながら私が「14:46です」と伝えることになった。

ラジオを消し、みなで黙祷。

暗い蔵の中が、ひたひたと涙に浸っていった。
今も海から戻らない友人の親族の魂と、
跡形もなくなってしまったその故郷に祈った。
原発周辺で惨い死を強いられた多くの動物たちに祈った。
実際には、そんなに整理して思い浮かべられたわけではない。
あらゆるできごとや葛藤が、次々と波のように押し寄せては心をかき回した。
今もまだ、到底穏やかでなどないのだということに気づかされる。
被災地の涙はどれほどか。

あの日、あの時を、こんな風に共有するのは、
東京では初めてのことではないだろうか。
3.10 の試みは毎年続けてきたけれど、
やはり自分も体験した一年前のできごとが蘇る感覚は
想像以上に、まったく違うものだった。
私も、しばらく声が出せなかった。
ラジオなら黙祷は一分くらいかな、と事前に話していたけれど、
もう時間の管理などどうでもよかった。

ようやく動けるようになったので静かに抜け出してカフェまで行き、
自転車を漕いでいただくようお願いした。
裸電球の灯りが戻り、みなゆっくりと顔を上げた。

カフェに戻る人と蔵に残る人とがバラけた頃にちょうど
琵琶ッチが到着。
皇后様が震災に寄せて詠まれた詩を歌ってくれた。
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イッコさんは再び踊りを合わせ、ゆっくりと、
光の方へと出て行った。
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終了後、カフェにて自転車発電。
男子たち、激漕ぎで100V超えに挑戦。
ものすごく明るいけれど、30代の体力がもたない。
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蓄電機能はあえて外しておいた。ソーラー・パネルとバッテリーも使わなかった。
蓄電で安定供給するよりも、電気を作るということを、目で見て体感したかったから。

コタローも漕いでくれたョ。点いてる点いてる!
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銀さんどうですか。
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カフェのまんかなで自転車漕いでるヒトがいるって、
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すごい光景。
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塾長のご協力のおかげで、自然エネルギーという希望の要素も楽しく体験できた。
塾長もお仲間もとてもうれしそうで、私もうれしかった。
すでに日が落ち始めて、卵をゆでるには至らなかったけれど、
外でみんなでソーラー・クッカーであたたまった白湯を飲んだ。
おひさまに乾杯した。
生焼けのリンゴも、メープルシロップをかけて食べた。

何人かの方が、「一人で今日をどう過ごそうか、考えていたんです、
よい時間をありがとうございました」、と伝えてくださった。
まどかちゃんも「楽しかったです。 …っていうのもヘンですけど」
と言ってくれた。
まったくイメージ通りにはできなかったけれど、
それもそれで、よかったとイッコさんも言ってくれた。
亮クンも、昨夜いきなり言われて、気持ち的に
(音を鳴らすのは)どうかなぁと迷ったそうだが、
やってよかったと言っておられた。
3.10 から 3.11 へ。みんなといっしょに過ごせてよかった。

16:00、名残惜しいけれど、電気を戻す。
私は普段から目が灯りに弱くて、暗いところが落ち着くし
コンピュータの画面もいちばん暗くしているから
ずっとこれでいいじゃーん、と思うのだけど。

計画停電と節電要請で暗い中、原発がなければ困るだろう?と脅されていた日々。
でもその暗さとは、今は違う。
原発がなくても困らないことを、私たちは知った。
事故が起きれば、正確には知らせられないほどのことになると知った。
そんな原発がどれほどはびこって来たか、
そして絶対に手放さない人たちがいることを、私たちは知った。
私たちは選べる。選びたい。


銀さんは、今日はヘンな一日だナー、という感じ。
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三日間ほとんどかまってあげられなかったからか、
お客さまの膝の上に座り込んでしまいました。
ナニソレ!珍し!アタシにはしないのに!キィ と
キララちゃんと私で超ジェラシー。
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そのまま丸まって、2時間くらいでしょうか。
おつかれさまでしたね。
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私も、ついに緊張の糸が切れてドサリとソファに倒れ、
1時間ほど眠ってしまいました。


今日の黙祷の周辺、銀さんは階段のところで
実に神妙にしておられたそうです。
これは夜に撮った写真ですが、こんな感じだっただろうな。
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