spoken words @月夜の森

月夜の森 10:第四夜 chori
浅草wordscape「街とことばの定点観測」
12月11日(日)14:00/18:00
当日券:3,000円(1ドリンク付)

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中学生の頃から詩人を名乗り活動している chori(チョリ)こと千 明史さん(27)は、
十六代続く裏千家家元と皇族の血筋の生まれである。なるほど千さん…
自分のルーツをどこまでも辿れるというのは望んでも叶わないから、
とても特別ですてきなことだと思う。
けれど、生まれた時すでに自分という器に箱書されている環境の中で、
自分はなにものなのか、なにものでもない自分とは誰なのか、という命題に
誰よりも直面していることだろうと想像すると、ちょっと目眩がする。

そんな葛藤の中で、DNAや環境は彼にどんな影響を与え、
彼はなにをどう感じて伝えようとしてるヒトなんだろ?
と、俗世間代表の素直な興味もありつつ、
伝統と現代を行き来するテーマが多いエフとしては、期待も大きかった。


chori がゆらりとステージに立ち、歌うように語り始めたとき、
そんな情報など初めから何もなかったようにどこかへ吹き飛んでいた。
そんなことより彼が今ここにこうして立っていることを
拝むような気持ちで見つめることになった。
いったいこれはナニ?

敢えてジャンルを付けるなら、彼のスタイルは「詩の朗読」というよりも
「スポークン・ワーズ」と呼ばれるサブカルチャーである。
目で読むために書かれたものを声で読むのとは、明らかに違う。
その場で届けられるために生まれてくることばたち。


[長い話]



蔵の中のライブでは、「ことば」を扱うものをいくつか開催してきた。
講話、対談、朗読(詩、小説、戯曲)、被爆証言、中でも、
09年に開催した、作家のいしいしんじさんと琵琶ッチの
その場小説/その場琵琶」を思い出した。

その場で小説を書きながら読み、読みながら書く、という驚くべき即興表現を、
「やってみたらできたから」としんじさんはあちこちでやっておられる。
頭で考えたらそこで終わり、という作品。
しんじさんが、「潜水みたいなもの」と言っていた、その感じ。
意識の下へと、潜る、潜る、その感じ。
空気はなくならないし、息は止まらない。
そのギリギリの試みから生まれて来る世界がけっしてでたらめではないことが、
なんだか生きる力までをも与えてくれる作品だ。

作品によって作り出される「世界」への責任を背負う作家が、
その作業を人前で見せ物にする。
その瞬間を共有し見届けられる「ライブ」は尊い。
それが「その場限り」でありつつ、「ことば」であるということも、私には大きかった。

「ことば」や「モノを書く人間」に、ひどく裏切られてきた。自分自身のことばも然り。
ことばからも思考からも逃れられない。逃げれば想いに溺れて窒息する。
私はずっとずっとことばを怖れ、憎み、想いとことばとの乖離に焦るしかできなかった。
誰とも話したくないし、何も書き残したくないし、誰のことばも信じられず、本も読めなくなった。
とはいえ自分も、話したり書いたりして伝えることが仕事の大部分なので、
なんとか絞り出してでたらめにことばをつなぐ毎日。


独白を語る役者のように体ごと動き回る chori を見上げながら「ことば」の雨を浴びる。
それは思いがけずあたたかい雨で、ミストサウナのように私の表面をひたひたと覆い、
ゆっくり内側へと染み込んでいった。
ことばとは、そのまま想いだ。
どうにもままならない、想いや反応や環境やできごとや歴史や、生きることの数々だ。
きっと呼吸の数よりも多く存在しているけれど、空気と同じくこの手につかまえることはできない。
怖れては、手を出せない。手を出しては、痛めつけられる。
けれどもそれは「ことば」でしかないよ、とでも言うかのように、
痛みも怖れも憧れもせつなさも、そこらじゅうのものを吸い込んでは
きらきらとことばに紡ぎ、ゆらゆらと纏うヒト。

ことばを失ったり、ことばに詰まったり、ことばにならなかったり、ことばに絡めとられたり
しているヒトたちに、chori のステージをぜひ体験してほしいと思う。
「ことば」も「存在」も、確かなものなんてなにもないけれど、
それを嘆くんじゃなくて。

彼のことばそのものが癒すというのとは、少し違う。
どの場所にもどの瞬間にも想いがあり、ことばがあり、
かたちにならないようでいて、つかまえられないようでいて、
あらゆる角度からアクセス可能だということを、うたうヒト chori は体じゅうで伝えてくれる。
しとしと降り注ぎ染み込む心地よさで、縮こまる心に寄り添う。
さっき足もとにいたかもしれないけど気のせいかもしれない猫みたいに。


「詩の朗読」、その風景をがらりと変えた chori。
「現代詩」、それよりももっと「現在」。その場。
そこには確かに彼だけの世界が出現して、
やがてリズムやメロディが聴こえ、映像も見えてくる。
様々なものと手をつないでゆける予感。
等身大で「現在」を呼吸しながら、あらゆる境界線を越えてゆこうとするもの、
そういう力を信じているもの、信じさせてくれるものが、私は好きだ。
好きというか、そういった表現、アートの力を信じなければ、
あらかじめ組み込まれているものたちだけと、進んではいかれないから。

なので「即興」とか「詩の朗読」とか「詩人」とか、ニガテー と思っているヒトには、
もったいないからぜひ体験していただきたい。


[Art and Mind]



chori さんは京都弁のおもろい兄ちゃんでもあるので、MCも不要なまでに笑けて、
ポカンとしてると「そこ笑うとこねー」とツッコまれる。
そして圧巻なのは、お客さまからお題をいただいての即興詩作。
二つ三つを募集することもある。それなら「整いましたー!」となんとなくできそうだ。
と思われるのがイヤで、1月の公演では満席の会場の全員から一言ずつを一枚の紙に集めた。
その羅列に目を通す間もなく彼は即興を始め、使用したことばを一つずつペンで消しながら
ライブ・ペインティングのようにすらすらと、みなの目の前にひとつの光景を描いていった。
コンピューターにやらせたって相当でたらめなものになるはずが。
このヒトヤバい…

でも、彼の不可思議な内側の仕組みを覗いてみたいなんて、もう思わなかった。
chori ってなんなんでしょうね、ってことも、どうでもいい。
ただこの場所でぼくたちなにかを吸ってなにかを吐いているよねってことを
心地よく噛み締めたり、心地わるく噛み潰したり、風に吹かしたり水に流したり、流されたり。
そんなひとときのステージ。
うんやっぱり、ことばにするのには苦労しますから、体験してください。

chori さんは綿毛のようにふわふわしていて、
ブログやTwitterを覗けばだいたいいつも酔いどれていて、
心配にさえなりますねおばさんは。

そんな chori さんが今週末、はるばる京都から
浅草の「月夜の森」までやって来てくれます。
皆既月食が明けての12月11日(日)14:00/18:00開演(2ステージ)
ぜひみなさんも、会いに来てください。ご予約受付中!
公演詳細




chori official homepage >>
chori official blog >>
ドキュメンタリー番組『映像 '06』(MBSテレビ/2006年)chori と童司ーコトバの自由形ー
MY TOWN 京都(asahi.com/2010年1月14日)
ミホプロジェクト(京都)>>

1月の公演のとき、ポップを手描きしていた chori さんの横で
銀次親分はすやすや寝ておられましたなぁ。
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『月夜の森』第三夜に出演してくださったタブラ奏者の指原一登さんが
蔵での演奏体験をさっそくブログに書いてくださいました。
うれしいなぁ。


さてさて銀次親分は現在も引きこもり。
目が潰れるほど寝ています。
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さっき一瞬起きましたけどね。
冬毛でフクフクですね。
体重が5.7kgだったことはないしょにしておきますね、親分。
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銀さーーん お店終わって、見張りの時間ですよー
とナオトが呼んでいます。
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…起きないらしい。
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静かな夜です。


本日(12/8)は19:30より浅草公会堂にて琵琶ッチこと友吉鶴心
薩摩琵琶楽の会 第20回『花一期』開催です!
友情出演:觀世葉子/鈴木綜馬/稲葉明徳/デーモン閣下 他

私は受付係と場内アナウンスを務めることになりました。
会場にてみなさまのお越しをお待ちいたしております。
当日券は会場受付にてお求めください。



Gallery ef, Asakusa, Tokyo
旧ブログ『今週の銀次親分』
by ginji_asakusa | 2011-12-08 02:22 | イベント


浅草ギャラリー・エフの看板猫・銀次親分の日々。


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